「レーシック」「インプラント」は医療費控除の対象になる?「4万円」節税できる場合もあるって本当?
配信日: 2023.06.22
では、レーシックやインプラントはどうでしょうか。決して行わなければならない治療ではなく、眼鏡やコンタクト、保険適用の差し歯などで対応できるものです。
しかし、実は意外にも医療費控除の対象になるのです。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
医療費控除とは
医療費控除とは所得税や住民税を計算する際の所得控除の1つで、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費のうち、原則として10万円を超える部分の金額が対象になります。生計を一にしている家族の医療費を支払った分も含まれます。
例えば、4人家族の医療費が1年間で30万円かかった場合、10万円を差し引いた20万円が医療費控除になります。
医療費控除の対象になる医療費
「医療費」といっても多岐にわたります。具体的には以下のとおりで、病状に応じて一般的にかかる水準を著しく超えない部分の金額とされています。基本的には、保険適用になるか否かで判断するとよいでしょう。
・医師または歯科医師による診療費または治療費
・治療に必要な医薬品の購入費
・マッサージ指圧師、はり師などの施術費(リラクセーション目的など治療以外のものは除く)
・出産費用
・介護保険等制度で提供されたサービスに対する自己負担額
など
レーシック・インプラントの概要と費用相場
レーシックとは、角膜をレーザーで削って形状を変えることで視力を矯正できる手術で、眼鏡やコンタクトの使用から解放されます。
インプラントとは、人工歯根をあごの骨に埋め込む手術のことで、入れ歯や差し歯に比べてしっかり固定されるため、自分の歯と同じようにかみこなすことが可能となります。
ただし魅力的である反面、健康保険の適用外の自由診療となっていることから高額な費用がかかってしまう難点があります。費用相場としては、レーシックが両目で20~45万円程度、インプラントは歯1本当たり30~40万円程度かかるようです。
レーシック・インプラントも医療費控除の対象
レーシックとインプラントは自由診療であり、手術しなくても他の代替治療があることから、美容整形などと同じ枠に捉えてしまいがちです。
しかし、目や歯の機能を正常な状態に回復させるための手術であることから医療費控除の対象となっています。高額な費用がかかる分、税負担が軽減されると助かりますね。
医療費控除で節税できる金額
レーシック手術30万円のみ行った場合の医療費控除とその節税額を計算してみましょう。所得税率は10%(年収500~600万円の人)、住民税率は10%(全国一律)とします。
【医療費控除の金額】
30万円-10万円=20万円
【所得税】
20万円×10%=2万円
【住民税】
20万円×10%=2万円
【節税額】
2万円+2万円=4万円
節税額は4万円となります。
まとめ
レーシックやインプラントにかかった費用は医療費控除の対象です。所得税率10%の人が30万円のレーシックを行った場合には税金が4万円安くなるため、実質26万円で手術できたということになります。
手術費用の検討をする際には、医療費控除のことも考慮するとよいでしょう。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士