更新日: 2023.06.28 その他税金

母からもらったブランド品が高額で売れた! 税金って取られるの?

執筆者 : 伊藤秀雄

母からもらったブランド品が高額で売れた! 税金って取られるの?
Aさんは、母親からもらったブランド品が不要になったのでフリマアプリに出品したところ、高額で落札されたそうです。
 
しかし、思った以上に高額で売れたため、税金がかかるのではないかと心配になりました。不用品を売ったことで得た売上金は課税対象になるのでしょうか?
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

フリマ経験者が一度は疑問に思うこと?

不用品の売買。最近は、フリマ(フリーマーケット)アプリを多くの方が気軽に利用するようになりました。しかし、その売上について、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
 
「これって税金かかるのかな?」
「個人間の取引だから関係ないんじゃないの?」
など……。
 
個人間の取引でも、一定の条件に当てはまれば課税対象になります。会社員を例にすると、多くの方が該当するのは次のケースです(※1)。
 
「1ヶ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
 
つまり、勤務先からの報酬以外に、一時所得や雑所得といった所得が20万円を超えた場合は基本的に課税対象になるのです。一時所得は、例えば生命保険の解約返戻金、競馬・競輪の払戻金やふるさと納税の返礼品などがあります。雑所得に挙げられるのは、フリマでの利益や講演料、原稿料などです。
 
この雑所得は、売上額から必要経費や購入時価格を差し引いたものです。これら一時所得や雑所得などを合算して20万円を超えた場合には、確定申告する必要があります(※2)。
 
なお、合計が20万円以下で確定申告しない場合でも、住民税は所得の多寡に関わらず市区町村の役所に申告する必要があるので、お気を付けください。
 

日常生活で使うものかどうか

では、フリマで得た利益は、必ず申告対象の所得に該当するのでしょうか?
 
実は、古着や家財など日常生活に使用している資産の売却による所得は、非課税(確定申告不要)です(※3)。
 
普段使いしていて不要になった衣類や道具類、身の回りのものなどは基本的に課税対象外なので、売却で得た所得は確定申告が必要な所得として合算する必要はありません。
 

ブランド品はどうなるのか

さて、Aさんが売ったのはブランド品でした。高額だったようですが金額は分かりません。
 
日常生活に使う物品ならブランド品も非課税でよいのか、また迷いますね。この点について、国税庁から次のように示されています。

「資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。
 
(1)生活用動産の譲渡による所得

家具、什器(じゅうき)、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます」

(出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」(※4))

売却額が30万円以下であること、美術品的価値や希少性の高いものでなければ非課税となる可能性が高いといえそうです。反対に、コレクターが高値で取引するようなものだと、たとえ子どものおもちゃであっても生活用動産の域を超えているかもしれません。
 
また、少額であっても相当の期間にわたり、継続的に譲渡を行っている場合の所得は、事業所得または雑所得になるとも示されています。副業のように、仕入れた品に利益を乗せ、継続的にフリマで転売するようなケースは課税対象と判断されることがあるということです(※4)。
 

最後に

フリマでの利益の課税判断は、生活用動産かどうか、価額が30万円超か、継続的に行っているかどうかなど、いくつかのポイントがあることが分かりました。
 
なお、ここに記したのはあくまで原則的な考え方です。個別のケースの判断については、税理士にご相談することをお勧めします。
 

出典

(※1)国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
(※2)国税庁 No.1500 雑所得
(※3)国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
(※4)国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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