更新日: 2023.07.09 その他税金

「エコカー減税」が2026年4月まで延長されたけど、基準は厳格化されるってどういうこと?

「エコカー減税」が2026年4月まで延長されたけど、基準は厳格化されるってどういうこと?
ガソリンの消費を少なくし、環境にやさしい車を普及させようと、2009年4月から「エコカー減税」が施行されました。この税制は対象車種や条件の変更をしながら、現在に至るまで延長を繰り返しています。
 
今回も、現行制度の適用期間が、2023年4月30日から延長され、加えて、条件等の変更も決まりました。内容はどうなったのでしょうか。
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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現行のエコカー減税は2023年末まで延長

現行の「エコカー減税」は、2021年5月1日から2023年4月30日までの間に、国土交通省が定めた排出ガスと燃費基準を満たした新車に対して、重量税が免税、もしくは減税される制度です。
 
この制度は2023年度の税制改正で、2023年12月31日までは、現行の燃費基準や条件のもとに、延長されることが決まりました。さらに2024年1月1日からは、燃費基準や条件が変更されたうえで、2026年4月30日まで適用されることになりました。
 
なお、後述しますが、環境にやさしい車を新しく購入した場合は、「エコカー減税」に加え、別の制度も利用できます。
 
例えば、「環境性能割」は車の購入額に燃費基準に応じた税率をかけるもので、以前は「自動車取得税」といわれていました。また、排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車に対して、性能に応じて自動車税・軽自動車税を軽減する「グリーン化特例」という制度もあります。
 

2024年からの新しい基準は、現状以上に厳しくなる

2024年から新しい基準となる「エコカー減税」は、現行の燃費基準を維持しながらも、さらに環境にやさしい車に対して、免税・減税措置が受けられることになります。
 
これまでは、「JC08モード」という燃費測定方法が採用されていましたが、実際の燃費と測定結果の間に違いがあることが指摘され、2020年の燃費基準からは、実際の燃費に、より近い結果を出せる「WLTC(Worldwide harmonized Light vehicles Test Cycle)」モードの測定方法が採用されています。
 
この「WLTCモード」が採用されたことで、自動車メーカーがカタログなどに記載した燃費が、実際の燃費に近づいたため、2024年からの「エコカー減税」の燃費基準が厳しくなりました。
 
その基準は、2030年度の燃費基準を達成できた数字に応じて適用されます。例えば乗用車(ガソリン車)の場合、2030年度の燃費基準は図表1になります。
 
【図表1】

車両重量が2759kg未満 FE(g)=-0.00000247×Mの2乗-0.000852×M+30.65
車両重量が2759kg以上 FE(g)=9.5

(FE(g):ガソリン車の燃費基準値(km/L)、M:車両重量(kg)、FE(g)は小数点第2位を四捨五入)
※一般社団法人日本自動車工業会 令和12 年度燃費基準値を参考に筆者作成
 
例えば、車両重量が1000kgであれば、燃費基準は下式より27.3km/Lとなります。
 
-0.00000247×1000の2乗-0.000852×1000+30.65=27.328
 
「令和5年度税制改正」によれば、2023年12月31日までの現行の制度では、ガソリン車やLPG車は、2030年度の基準の90%以上の燃費性能であれば、初回車検時の重量税は、免除されます。また、基準の性能の75%以上であれば、車検時に50%の減税を受けることができます。
 
2024年1月1日から2025年4月30日までは、基準の性能の90%以上を達成している場合の優遇措置に、変わりはありません。ですが、減税措置の適用を受けられる最低ライン(25%の減税)は、基準の性能の60%から、70%に上がっています。また、50%の減税を受けられるようになるには、基準の性能の80%を満たすことが必要です。
 
2025年5月1日以降は、さらに条件が厳しくなっていきます。基準の性能の90%を達成していても減税割合は50%にしかならず、基準の性能の80%を満たす場合では、25%しか減税されません。免税措置の適用を受けるには、基準の達成率が100%であることが必要になります。
 
【図表2】


※電気自動車等とは、電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車のこと
※経済産業省自動車課 令和5年度税制改正を参考に筆者作成
 

環境性能割やグリーン化特例も2023年まで延長され段階的に厳格化

「エコカー減税」の延長に合わせて、前述した「環境性能割」や「グリーン化特例」も延長されました。
 
「環境性能割」は「エコカー減税」と同様に、2023年3月31日までの期限が、2023年12月31日まで延長されました。その後は2026年3月31日までの延長と、段階的な制度の厳格化が決まっています。「グリーン化特例」は、2023年4月1日から2026年3月31日まで、現行制度と同条件で延長されます。
 

まとめ

現在、世界的な半導体不足などにより、納車が遅れる、という事態を勘案し、「エコカー減税」など現行の制度の多くが、2023年末まで延長されました。その後は一部で現在の基準を維持しながらも、さらに環境にやさしい車の普及を目指して、基準を厳しくしていく方針のようです。
 
燃費の良い車に乗り換えて、税制優遇が受けられることは、購入者にメリットがあるといえます。今後の自動車メーカーのさらなる技術の進化や、環境に一層、やさしい低燃費の車の発売も期待したいものです。
 

出典

一般社団法人日本自動車工業会 令和12年度燃費基準値
経済産業省自動車課 令和5年度税制改正(車体課税の見直しおよび延長)
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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