最近「2025年に扶養がなくなる」って聞くけどどういうこと? 年収100万円の場合は「16万円の損失」に!?
配信日: 2023.07.09 更新日: 2023.07.10
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「2025年に扶養がなくなる」のは社会保険での話
まず「扶養」には、社会保険上と税金上の扶養があることを整理する必要があります。「2025年に扶養がなくなる」という話は、社会保険上の扶養においてです。年収を106万円または130万円以下におさえて働いている人が気になる話ということになります。
なお、社会保険上の扶養制度を2025年に廃止するというのはまだ検討中の案であり、2023年7月時点において確定していないことを、まず知っておいてください。
確定していない制度について、ここまで騒がれている理由としては、全世代型社会保障構築会議において、全ての労働者に社会保険の適用をする案が入っていたことからです。社会保険の扶養がなくなるとなれば、家計の一大事となる家庭も多いことでしょう。衝撃的な内容であることから大きな話題になったと考えられます。
2024年10月からは社会保険適用範囲拡大が確定している
社会保険の扶養といえば、年収130万円の壁が一般的でしたが、2022年10月に社会保険の適用範囲が拡大され、従業員数101人以上の会社で働く人については、年収105万6000円以上であれば社会保険に加入しなければならなくなりました。年収106万円の壁が一気に身近になる形となりました。
そして、2024年10月からはさらに適用範囲が拡大されることが決まっています。2022年10月に改正された従業員数101人以上が、51人以上になるのです。勤務先が中小企業であっても該当する人が一気に増えることでしょう(図表1)。
図表1
※「現在」と記載の部分は2021年時点です。
厚生労働省 動画・チラシ・ガイドブック|社会保険適用拡大特設サイト
本当に社会保険の扶養が廃止されたらどうなる
少子高齢化、寿命の延伸などによって、社会保険制度の財源はますますひっ迫していくでしょう。全ての労働者から社会保険料を徴収する世の中が来る可能性は、決してゼロではありません。もし、東京都在住の年収100万円(標準報酬月額8万8000円)の人が社会保険に加入する場合、給与から天引きされる社会保険料を計算してみたいと思います。
健康保険料(介護保険第2号被保険者に該当する場合):5200円×12ヶ月=6万2400円
厚生年金保険料:8052円×12ヶ月=9万6624円
合計:15万9024円
1年間で約16万円という結果になりました。これまでなかった負担であることから、「損をした」という気持ちが大きくなる人もいるでしょう。
まとめ
「2025年に扶養がなくなる」のは社会保険上の扶養の話になります。そしてまだ確定していません。ただ、社会保険の適用範囲はどんどん拡大されていることから、近い将来、本当に全ての労働者が社会保険料を負担する時代が来るかもしれません。
出典
日本労働組合総連合会 全世代型社会保障構築会議の「報告書」に関する談話(事務局長談話)
厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト 従業員数500人以下の事業主のみなさま
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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