友人に自家製梅酒を振る舞ったら、「密造してんの?」と言われました。梅酒を作るのは「酒税法違反」なのですか?

配信日: 2023.07.16

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友人に自家製梅酒を振る舞ったら、「密造してんの?」と言われました。梅酒を作るのは「酒税法違反」なのですか?
梅を使って保存食を作る初夏の風物詩「梅仕事」として、毎年梅酒を漬ける人も多いでしょう。自家製の梅酒は市販品とは異なる味わいがありますが、実は場合によっては酒税法に違反してしまうケースがあるのです。
 
本記事では自家製の梅酒作りの注意点について解説します。
渡辺あい

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)

ファイナンシャルプランナー2級

自家製の酒は酒税法違反だが梅酒は例外

自宅で酒を造ることを「自家醸造」といいます。酒税法第43条によると「酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす」とあります。
 
市販のホワイトリカーに青梅と氷砂糖を入れて梅酒を作る自家醸造は、厳密にいえば酒の醸造行為、つまり「密造酒」造りにあたります。
 
ただし、国税庁によると、「消費者が自分で飲むために酒類に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としない」とされています。つまり、自分で飲むために作った果実酒であれば、例外的に認められているということになるのです。
 

梅酒も作り方次第で酒税法違反する

自家製の梅酒をはじめとした果実酒造りは酒税法違反にはなりませんが、造り方次第では酒税法に触れてしまうことがあります。梅酒および果実酒の製造で注意しなければいけないことは次の4つです。

・アルコール20%以上の酒に漬けること
・米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえもしくはでん粉またはこれらのこうじを使用しない
・ぶどう(やまぶどうを含む)を漬けない
・アミノ酸もしくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物もしくはその塩類、有機酸もしくはその塩類、無機塩類、色素、香料または酒類のかすを使用しない

まずは梅をはじめとした果実を漬けるお酒のアルコール度数が重要となります。一般的に「果実酒用」として売られているホワイトリカーは20~30度のものがほとんどです。また、ブランデーやウイスキーもアルコール度数が高いので問題なく果実酒に使用することができます。
 
しかしワインは13度前後のものが多いので、アルコール度数が足りず、規定違反となります。つまり、ワインにフルーツやスパイス、甘味を加えて造るサングリアを自家製で造ると酒税法違反になるのです。
 
また、こうじ類やぶどうは発酵しやすい食品なので、漬けこんだ果実酒のアルコール度数が上がる可能性があるため、こちらも酒税法違反となります。
 

梅酒を家族以外に振る舞うのはNG

しっかりと規定を守った自家製の梅酒でも、まだまだ注意しなければいけないことがあります。それは「売らないこと」と「家族で消費すること」です。
 
国税庁は、酒税法の例外について「消費者が自ら飲むための酒類についての規定であることから、この酒類を販売してはならない」としています。つまり、自家製の梅酒を売ることはもちろん、不特定多数の人に振る舞うことも禁止となるのです。
 
自家製の梅酒はあくまでも自分で飲むための特例であることを頭に入れておきましょう。
 

規定を守って楽しい梅酒作りを

梅酒作りに凝り始めると、ホワイトリカー以外のお酒で漬けたり、他の果物と組み合わせてみたいと思ったりすることもあるでしょう。また上手にできた場合は、多くの人におすそ分けしたくなるかもしれません。
 
しかし、梅酒作りは自家醸造として酒税法の例外を受けているとはいえ、さまざまな制約があります。せっかくの梅酒造りが法律に触れてしまうことは避けたいものです。規定を守って、梅酒を楽しみましょう。
 

出典

国税庁 【自家醸造】
e-GOV 酒税法
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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