「タンス預金」って脱税なんですか? なにかデメリットはあるのでしょうか?
配信日: 2023.07.22
そこで本記事では、タンス預金と脱税の関係について詳しく説明します。具体的なメリットとデメリットも紹介するので、この機会にチェックしておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続するなら正しい納税を!
ひっそり貯めるイメージを持っていると、タンス預金を後ろめたい行為のように感じることもあるでしょう。しかし、自分の所有物である以上、現金を自宅に置いておく行為に違法性はありません。膨大な金額に及んだとしても、保管場所が自宅という理由だけで、脱税になるリスクはないということです。
一方、タンス預金を相続するなら、金額によっては納税の義務が発生します。金融機関を介さないからといって、相続税の対象から逃れられると考えるのは間違いです。税務署は過去の出金を細かく調べ、使用した履歴が見つからないなど、相続が疑われる場合は税務調査を実施する可能性があります。
税務調査によって申告していないことが発覚した場合、無申告加算税や過少申告加算税などのペナルティを受けてしまいます。意図的な隠ぺいに対しては40%や35%の重加算税がかかり、脱税行為として刑事罰を科せられるリスクもあるのです。
タンス預金のメリット
タンス預金の主なメリットは以下に紹介する2点です。
・金融機関が倒産しても影響がない
金融機関は存続が約束されているわけではなく、不況などの影響で経営が苦しくなるケースもあります。そして、倒産してしまった場合、預金の全額が手元に戻ってくるとは限りません。
決済用預金以外は1000万円とその利息が保証額の上限なので、これを超える分に関してはカットされる事態もありえます。一方、どこの金融機関が倒産しても、タンス預金の金額は影響を受けずに済みます。
・状況に応じて柔軟に使用可能
生活費や旅行代など、用途を制限されることなく、いつでも自由に使えるので安心感があります。へそくりのような感覚で、いざというときに頼りになるお金として、臨機応変に活用が可能です。ATMの場所や手数料などを気にすることなく、必要なときにすぐ財布の中身を補充できます。また、キャッシュカードの偽造や口座の凍結といったトラブルと無縁である点もメリットです。
タンス預金のデメリット
タンス預金には以下のデメリットもあるので注意しましょう。
・物価の上昇による資産価値の目減り
タンス預金には利息がつかないため、自分で足さない限り金額は増えません。物価が上昇する中、相対的に資産価値は下がっていくことになります。例えば、数年後に物価が5%アップした場合、タンス預金が1000万円なら、50万円分の目減りが起こったと解釈できます。他の資産をうまく運用して増やすなど、別の手段でカバーしていく姿勢が必要です。
・盗難や紛失などのアクシデント
現金として家に存在している以上、常に盗難を警戒しなければなりません。火災や水害などで失ってしまう可能性もあるため、これらの脅威から保護するための対策が求められます。
また、長年にわたって隠していると、当初は想定していなかった問題も起こりやすいです。例えば、記憶力が低下して置き場所を忘れるケースや、家族が誤って処分してしまうケースなどが挙げられます。
タンス預金を始める前に実情を把握しよう!
タンス預金をしても違法ではありませんが、意図的に相続を隠ぺいするのは脱税行為になる場合があります。その場合は、重加算税や刑事罰の対象になる点を理解しておく必要があります。
また、資産価値が目減りしやすく、盗難や紛失といったアクシデントにも注意が必要です。メリットだけを意識するのではなく、このような実情を把握したうえで、タンス預金を行うかどうか判断しましょう。
出典
財務省 加算税の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー