更新日: 2023.07.24 その他税金

こっそり貯めてた「へそくり」にも「税金」がかかる? タンス預金の注意点とは?

執筆者 : 柘植輝

こっそり貯めてた「へそくり」にも「税金」がかかる? タンス預金の注意点とは?
FPとしてお金の相談を受けていると、「へそくりならお金の存在がバレずに税金もかからない」と思っている方と時々出会います。しかし、そう思っていると相続において痛い目を見る可能性があります。そこで、タンス預金の取り扱いについて注意点を解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

そもそもタンス預金とは?

タンス預金には明確な定義があるわけではありませんが、一般的には銀行の口座外で行われる貯金が該当します。タンスの奥や自宅金庫などがよい例です。また、妻が毎月夫から渡される生活費を浮かせ、余った部分を自宅のどこかに貯めておく、いわばへそくりもタンス預金に該当します。
 

タンス預金には相続税や贈与税がかかる

ここでは、妻が毎月夫から渡される生活費をへそくりとして貯めていた場合に、税金が発生するのかについて、解説します。結論から言うと、コツコツとへそくりとして貯めたタンス預金であっても、相続が起こると相続税の課税対象となることがあります。
 
夫から生活費として渡されたお金は、夫が稼いできたお金です。すると、それは仮に妻がこっそり、へそくりとして貯めたとしても、元をたどれば夫の財産であるとして、相続税が課税されることがあります。
 
例えば、夫が亡くなってしまい、妻が相続をします。すると、前述のようなへそくりやタンス預金は夫の財産とみなされ、相続税が発生するというわけです。生活費として消費されない分は、妻に贈与されたお金ではないため、夫のお金をたまたま妻が管理していただけと判断されるわけです。
 
相続税は現状、3000万円に法定相続人の数×600万円を加えた金額を超える部分に生じます。この金額を超えなければ相続税は非課税となるため、相続の発生時すべてのタンス預金に相続税が発生するとも限りませんが、理論上相続税が発生することは知っておいたほうがよいでしょう。
 
また、年間で110万円を超える贈与を受けると贈与税が発生します。つまり、タンス預金のお金を誰かに贈与した場合、その金額が110万円以上だと、受け取った側に贈与税がかかるわけです。タンス預金には相続税以外や贈与税が発生する可能性がある点に注意しましょう。
 

タンス預金はバレるのが基本

「表に出さなければバレないだろう」と考えるのはNGです。タンス預金であっても、お金が動けば税務署はその動きを把握することができ、税務調査にてそれが明るみに出てしまいます。
 
税務署は、亡くなった方や贈与を受けた方の収入や支出について、金融機関などと連携して把握し、そこから不自然な部分がないか総合的に調査します。
 
万が一、税務調査によって悪質だと判断されたら、最大40%もの重加算税が課される可能性もあります。タンス預金の存在を、相続税や贈与税において隠すことは絶対にやめてください。
 

タンス預金はどう扱えばいい?

タンス預金をしておくこと自体に何ら違法性はありません。問題なのはそれを隠すことです。夫の死による相続が起こったとき、夫の給与からへそくりで作ったタンス預金は、相続財産に含めて相続財産を計算するべきです。そして、タンス預金のお金について贈与した際は、贈与を受けた方に対してきちんと贈与税を納税する必要がある旨の説明もしておくべきです。
 
なお、タンス預金は非常にリスクのあるお金の保管方法です。紛失や家族間のトラブルの原因にもなりかねません。それだけならまだしも、盗難など犯罪の被害に遭ってしまう恐れもあります。お金は、可能な限りタンス預金を避けて、金融機関に預金する方法で保管しましょう。
 

へそくりで作ったタンス預金にも税金がかかる可能性はある

へそくりで作ったタンス預金にも、相続や贈与といったお金の動きがあれば、そこには税金がかかる場合もあります。タンス預金についてその点を忘れず、必ず税金が発生しないか確認するとともに、税金が発生する場合は、きちんと納税をするようにしてください。
 
また、大切なお金を守るためにも、できる限りお金はタンス預金ではなく金融機関に預金する形で貯金をしておくことをおすすめします。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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