みんなが1000円ずつ出して買った宝くじが当たった! 受け取る時の注意点とは?
配信日: 2023.08.01
こういった宝くじの共同購入は、本来は特定の宝くじでのみ実施可能で、購入時に所定の手続きを経る必要があります。
正規の手続きを経た場合、当選金は共同購入者も含めて非課税で受け取ることができますが、そうでない場合は贈与となります。宝くじの共同購入はその方法に注意しないと特に高額当選した際にトラブルにつながるかもしれません。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
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資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
宝くじを共同購入する際の手順と注意点
宝くじはどのような種類でも行うことができるわけではありません。原則として共同購入可能な宝くじは、「ジャンボ宝くじ」と「全国通常宝くじ」の2つとなります。
また、これらを購入する際に会員情報と購入代金の支払い方法、当選金の受取口座をあらかじめ登録しておいたり、当せん金のうち各自の受け取り分を銀行が発行する「宝くじ当せん証明書」の中に記載してもらったりすることで当選金を非課税とすることができます。
こうした手順をとらなかったり、本来共同購入の対象でない宝くじを代表者を立てる形で共同購入したりした場合、代表者以外の方が受け取った当選金は贈与となり、一定額を超えた場合は贈与税が課税されるおそれがあります。
贈与税は年間110万円の基礎控除を超えた分が課税対象となり、確定申告が必要となります。この際の贈与の額は当選金の分配以外にも申告する必要があるため、納税の手間が増えますし、贈与税は控除額も少なく税率は最大55%と高いため、共同購入者は代表者よりも少ない当選金しか手にすることができません。
受取金額の不平等さから、共同購入者間でトラブルに至る恐れがあります。
贈与税は税負担が大きい
正しい手順で購入した共同購入宝くじであればその当選金はおのおのの口座に非課税で振り込まれ、税金関係の手続きは完了します。
これに対し、代表者を立てた共同購入は、当選金を他の共同購入者に分配する際に贈与として扱われ、金額によっては贈与税の対象となる可能性があります。
贈与税は他の贈与と合算し、基礎控除の110万円を差し引いた金額に対して課税されます。
仮に10人のグループで1人の代表者を立てて宝くじを購入し、1億円の当選金を得て1人1000万円ずつ分配した場合の贈与税は、代表者は非課税であるものの他の9人は贈与税の対象となります。
上記の場合の贈与税を試算すると次のようになります。
当選金の分配1000万円-基礎控除110万円=贈与税の課税額890万円
890万円×贈与税の税率40%-控除額125万円=贈与税納付額231万円
代表者が分配する形式の共同購入の場合、代表者と他の共同購入者では受け取ることができる当選金額は上記のように大きな違いが生じます。
贈与税の税率は最大55%にもなるため、高額当選の際にはさらに格差が大きくなり、代表者と他の共同購入者でトラブルに発展するリスクもあります。宝くじを共同購入する際は共同購入可能なものを選択するようにしましょう。
まとめ
宝くじは特定のものに関してのみ共同購入が可能で、一定の届け出を行うことで共同購入者も当選金を非課税で受け取ることができます。
届け出を行わなかったり、代表者を立てて共同購入を行ったりした場合、他の共同購入者に当選金を分配する際に贈与となり、税負担が比較的大きい贈与税の対象となります。
高額当選であればあるほど、代表者と他の共同購入者が実際に受け取れる当選金に大きな差が生じ、その不平等さからトラブルに発展するリスクもあります。宝くじを共同購入する際は、当選金の取り扱い方法や税負担の違いについて確認し、正規の共同購入を行うようにしましょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表