更新日: 2023.08.07 控除

【パート勤務】扶養内と思っていたら年収を超えてしまった! この場合はどうなるの?

執筆者 : 吉野裕一

【パート勤務】扶養内と思っていたら年収を超えてしまった! この場合はどうなるの?
家族の扶養控除内で、パートで働いているという人は少なくないでしょう。繁忙期などに勤務先から「残業や出勤日数を増やしてほしい」と頼まれ、引き受けて働いたところ、気がついたら「扶養控除内」の年収を超えてしまった、という場合、ただちに扶養をはずれなくてはいけないのでしょうか?
 
今回は、年収制限を超えた場合を調べてみました。
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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扶養控除内の年収とは

「扶養控除内で働く」とよく聞きますが、一般的に「扶養控除内の年収」は「年収103万円以内」のことを指します。これは所得控除の対象の金額で、103万円以下であれば所得税が課税されず、「配偶者控除」の適用が受けられるというものになります。103万円を超えても、年収201万6000円未満までは「配偶者特別控除」もあり、段階的に控除額を引き下げる制度となっています。
 
この103万円とは、配偶者本人が給与収入を得ている場合、給与所得控除が55万円あり、さらに基礎控除が48万円あり、所得が0円になるという計算です。
 
なお、扶養には「社会保険の扶養」もあります。夫が自営業で夫婦で国民年金に加入している人の場合は、国民健康保険に加入しますが、国民健康保険の場合は、扶養という概念がなく、その世帯の所得によって、保険料が徴収されます。
 

社会保険の扶養とは

社会保険の扶養に入ることのできる基準は、年収103万円以下ではなく、年収130万円未満になります。
 
社会保険の扶養は過去の収入ではなく、将来に向けての見込み収入に対して考えるので、1ヶ月の収入が10万8333円以下(年間で130万円未満)で、配偶者の年間収入の2分の1未満であれば、配偶者の加入している社会保険の扶養に入ることができます。
 
では、社会保険の扶養から外れた場合は、どうなるのでしょうか。
 
扶養から外れた場合は、本人が何かしらの社会保険に加入しなくてはならなくなります。それまでパートとして働いていた会社で社会保険に加入できれば、会社がかけている健康保険組合や厚生年金に加入することになります。会社で社会保険に加入できない場合は、本人が国民健康保険に加入することになります。国民健康保険は、居住している自治体の窓で加入の手続きを行います。
 

130万円を超えたらどうなる?

扶養から外れる気持ちはなくても、残業や出勤日数を増やすよう、会社から依頼されて、気付けば130万円を超えてしまいそうになった場合はどうなるのでしょう。前項でも記載したように、社会保険の扶養では将来に向けた見込み収入を基準として考えますので、月額10万8333円を超えた場合は、年収130万円を超えると判断されて、扶養を外れる可能性もあります。
 
ただ、一時的に収入が増えた場合には、扶養を外れなくてもよい場合が多いようで、基本的には加入している保険組合の判断に任されるようです。1ヶ月の収入が10万8333円を超えたとしても、すぐには扶養を外れることはないようですが、2ヶ月や3ヶ月と継続的に収入が多くなった場合は、扶養から外れなくてはならないケースが多いようです。
 
厚生労働省も令和2年に各保険組合に対して、一時的な収入増だけをみるのではなく、前年や将来の収入の状況を確認しながら、すぐに扶養から外すことのないよう要請をしています。
 

まとめ

社会保険の扶養には年収130万円未満という要件があり、月額10万8333円以上を定期的に受け取る場合には、社会保険の扶養に入ることができなくなります。ただ、通常は扶養の範囲で働いていた場合、一時的に10万8333円を超えてしまう場合には、扶養を外れなくてもよいようです。ただ最終的な判断は各保険組合によりますので、被保険者の配偶者が加入している保険組合に確認しておくと安心です。
 

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出典

・厚生労働省 被扶養者の収入の確認における留意点について(◆令和02年04月10日事務連絡)
 
執筆者:吉野裕一
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