固定資産税にも節約方法があるって本当!? 軽減措置について詳しく教えて!

配信日: 2023.08.09

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固定資産税にも節約方法があるって本当!? 軽減措置について詳しく教えて!
不動産を所有している人に対しては固定資産税がかかりますが、固定資産税にも節税する方法があります。固定資産税は不動産を所有しているかぎり毎年かかる税金なので、合法的な節税方法の知識をもつことは大切です。
 
本記事では、固定資産税の概要から節税方法、固定資産税の軽減措置まで解説します。不動産を所有している人は参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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固定資産税とは

税金は大きく国税と地方税に分けることができますが、固定資産税は地方税に分類されます。過去には国税(地租)だった時期もありますが、地方税法の制定により地方税として固定資産税が誕生しています。
 
したがって、固定資産税は不動産が存在する地域の市町村や都に納める税金です。まずは固定資産税の概要と仕組みから解説します。
 

固定資産税の概要と仕組み

固定資産税は、図表1に示した固定資産に対してかかる税金です。
 
【図表1】

固定資産の種類 具体例
土地 田畑、宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野など
家屋 住宅、店舗、事務所、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫など
償却資産 会社などの事業者が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

総務省「固定資産税」より筆者作成
 
固定資産税は、市町村税あるいは都税として年1回地方自治体に納めます。固定資産税の税率は原則一律(自治体によって異なる場合あり)ですが、固定資産評価基準に基づいて固定資産の評価を行います。
 
3年に1回(償却資産は毎年)評価額の見直しが行われ、経年劣化した家屋の固定資産税額は下がるのが一般的です。
 

固定資産税の納税義務者

固定資産税を納める義務がある人(納税義務者)は、1月1日時点での固定資産の所有者です。1月1日以降に不動産を売却して、所有者が変更になったり建物を取り壊したりしても、1月1日時点での所有者に全額納付義務が課されます。
 
固定資産税の対象となる所有者は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

固定資産の種類 納税義務者 所有者
土地 固定資産の所有者 原則、登記簿や土地補充課税台帳に所有者として登録されている人
家屋 固定資産の所有者 原則、登記簿や家屋補充課税台帳に所有者として登録されている人
償却資産 固定資産の所有者 原則、償却資産課税台帳に所有者として登録されている人

総務省「固定資産税」より筆者作成
 

固定資産税の税率と計算方法

固定資産税の計算は、以下の計算式で算出します。
 
課税標準額 × 税率(1.4%)
 
課税標準額は原則として土地や家屋の評価額と同じですが、特例措置などで減額されることもあるので、減額後の金額を課税評価額と読んでいます。また、税率は原則として1.4%ですが、自治体に変更の権限があるため、自治体によっては1.4%を超える税率の場合もあります。
 

固定資産税の節税方法

固定資産税は税率が一律で、原則として固定資産税の評価額に税率を掛けるだけで算出するため、あまり節税の余地がないように思う人もいるかもしれません。しかし、特例や軽減措置、促進税制が多く、思ったよりも節税できる要素が多いのが固定資産税です。
 
節税は、自分から申請などの行動をしないと原則できません。節税の知識は、身につけておきましょう。
 

分筆により評価額を下げる

固定資産のなかでも、土地は登記によって地番が割り当てられ、固定資産税の評価も地番ごとに行われます(単位は筆)。土地は複数に分けて登記することができ、すでに登記してある土地を分けて登記し直すことを分筆とよびます。
 
分筆をすることで、土地の評価を下げて節税に結びつけられます。分筆によって節税できる理由は以下のとおりです。
 

・大きな道路に面していると評価が高くなるので、道路から離れた部分を分筆することでトータルの評価を下げられる
・私道部分には固定資産税がかからないため、分筆した土地に私道部分を作ることで評価を下げられる

 
ただし、分筆する場合は登記が必要で登記費用がかかるため、費用対効果を検討することが必須です。
 

非課税対象かどうかをチェック

固定資産税の対象となる不動産であっても、用途や所有者によって非課税となる場合があります。以下がその例です。
 

・国や自治体が所有する不動産(学校、公園など)
・幅が1.8メートル以上の私道
・公道に通じている私道
・不特定多数の人が利用している私道
・客観的に道路とみなされるもの

 
私道は申告しないと非課税にはならないので、管轄の自治体に申請する必要があります。なお、私道の定義も自治体によって違う場合があるので気をつけましょう。
 

特例や軽減措置を利用する

特例や軽減措置によって、 固定資産税が軽減されることがあります。図表3を参考にしてください。
 
【図表3】

特例・軽減措置 内容
新築住宅に係る税額の減額措置 住宅の固定資産税を3年間(マンション等は5年間)、2分の1に減額し、良質な住宅の建設や居住水準の向上、良質な住宅ストックの形成を促進(適用期限:令和6年3月31日)
住宅用地の特例 ◆小規模住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートル以下の土地)は固定資産税および都市計画税の課税標準額は、価格の6分の1および3分の1

◆一般住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートルを超える部分)は固定資産税および都市計画税の課税標準額は、価格の3分の1および3分の2
※大阪市の場合

長期優良住宅化リフォーム ◆対象となる戸建住宅または共同住宅のリフォーム工事
・インスペクションを実施し、維持保全計画および履歴を作成すること。
・工事後に耐震性、劣化対策および省エネルギー性が確保されていること
◆補助対象の費用
・性能向上リフォーム工事にかかる費用
・子育て世帯向け改修工事にかかる費用
・インスペクション、維持保全計画および履歴作成にかかる費用など
◆補助率と補助限度額
・補助率: 補助対象費用の3分の1
・補助限度額: 原則として100万円/戸

国土交通省「住宅:新築住宅に係る税額の減額措置」、大阪市「住宅用地の課税標準の特例措置」、国土交通省「令和5年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の募集を開始します!」より筆者作成
 
図表3以外にも対象となる地域であれば、農地に転用することで固定資産税を下げることが可能です。ただし、農地転用許可を得る必要があるため、どの土地も対象になるわけではありませんが、近くに農地がある環境であれば検討する価値はあります。
 

各種促進税制を利用する

各種の促進税制を利用することでも、固定資産税を軽減できます。詳しくは、図表4を参照してください。
 
【図表4】

促進税制 内容
バリアフリー改修 住宅が新築から10年以上経過している場合、一定のバリアフリー改修工事を実施すると、翌年度の固定資産税は3分の1減額される
省エネ改修 家屋が平成26年4月1日以前に所在していて、一定の省エネ改修工事が行われた場合、翌年の固定資産税額は3分の1減額される
省エネ改修 昭和57年1月1日以前に建築された住宅に対して、現在の耐震基準(昭和56年6月1日以降の基準)に適合するための耐震改修を行った場合、翌年度の固定資産税は2分の1減額される

※ すべて適用期限は令和6年3月31日まで
国土交通省「バリアフリー改修に係る固定資産税の軽減措置」「省エネ改修に係る固定資産税の軽減措置」「耐震改修に係る固定資産税の軽減措置」より筆者作成
 

固定資産税が軽減される方法は複数あるので、適切に選択して節税しよう

固定資産税は所得税と異なり、各種控除が多くあるわけではないので、特例や軽減措置、促進税制などを利用して軽減する方法が主流です。
 
そのため、自分の不動産が適用されるかどうかが節税のポイントになります。自分の固定資産が、本記事で解説したような節税方法にマッチするかどうかを確認することが大切です。また、各種制度は適用期限が定められていることも多いので注意しましょう。
 

出典

総務省 固定資産税
国土交通省 住宅:新築住宅に係る税額の減額措置
大阪市 住宅用地の課税標準の特例措置
国土交通省 令和5年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の募集を開始します!
国土交通省 バリアフリー改修に係る固定資産税の軽減措置
国土交通省 省エネ改修に係る固定資産税の軽減措置
国土交通省 耐震改修に係る固定資産税の軽減措置
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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