更新日: 2023.08.09 控除

勘違いしてませんか? 扶養「する側」「される側」把握すべきポイントの違い

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

勘違いしてませんか? 扶養「する側」「される側」把握すべきポイントの違い
パートやアルバイトで働く際、「130万円の壁」や「103万円の壁」という言葉を聞いたことはありますか。聞いたことはあるが、詳しくは分からないという人もいるでしょう。
 
この壁は、扶養に入るか入らないかが決まる重要なポイントです。本記事では、混同されやすい2つの「扶養」について解説します。
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2種類の「扶養」とは?

配偶者や親、子どもなど、経済的な自立が難しい家族を養うことを「扶養」といいます。扶養に関して混同されやすいのが、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」です。
 
「税法上の扶養」は、被扶養者(扶養される人)の有無によって、所得控除の適用可否が決まります。一方、「社会保険上の扶養」では、会社員や公務員などの扶養に入った場合、被扶養者は保険料を負担しなくても社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できます。
 
被扶養者となるには、年齢や収入基準など条件を満たさなければなりません。税法と社会保険における条件は異なるため、「社会保険上では扶養の対象でも、税法上では扶養から外れる」といったケースもあります。
 

「扶養する」または「扶養される」メリット

まず、扶養する側が優遇されるのは「税法上の扶養」、扶養される側にメリットがあるのが「社会保険上の扶養」である点を覚えておきましょう。それぞれ「扶養する(される)」ことで適用される制度の内容や、把握しておくべきポイントを解説します。
 

扶養する側「扶養控除を受けられる」

所得税の納税者に被扶養者がいる場合、「扶養控除」が適用されます。扶養控除とは、所得控除のひとつです。所得控除は、課税対象となる所得から一定金額を差し引くことで、税の負担を減らします。
 
控除対象となる扶養親族は、次の条件を満たさなければなりません。

【扶養控除で被扶養者となる条件】

・配偶者以外の親族であり、その年の12月31日時点で16歳以上であること
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が48万円以下である(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない

差し引かれる控除額は38万~58万円であり、扶養親族の年齢や同居の有無によって決まります。
 
また、配偶者は扶養控除の対象外です。配偶者で一定の収入基準などを満たす場合は、配偶者控除または配偶者特別控除を受けられます。配偶者控除においても、被扶養者の「年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)」であることが条件です。
 

扶養される側「社会保険へ加入できる」

扶養者(扶養する人)が会社員や公務員の場合、その被扶養者は、社会保険料の負担なく健康保険や厚生年金に加入できます。ここで、全国健康保険協会(協会けんぽ)で定められている被扶養者の範囲をみてみましょう。

【被扶養者の範囲】

被保険者の直系尊属
・配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)
・子
・孫
・兄弟姉妹
・上記以外で、扶養者と同居して家計を共にしている3親等内の親族、内縁の配偶者の親や子

税法上の条件と異なり、被扶養者の年齢制限はありません。社会保険上で被扶養者と認められるかは、主に「生計を維持されているかどうか」で決まります。
 
扶養者と同一世帯に属する被扶養者の場合、「年間収入が130万円未満」かつ「扶養者の年間収入の2分の1未満」であることが条件です。なお、扶養者の年間収入を上回らない場合は、具体的事情を考慮して被扶養者と判断されるケースもあります。
 

2種類の扶養の違い

税法上の扶養と社会保険上の扶養では、適用条件もメリットも異なります。主な条件の違いのひとつに、被扶養者の収入基準があります。パートやアルバイトで税法上の扶養になるには103万円、社会保険上の扶養に入るには130万円が基準です。
 
パートなどで働こうと考えている人は、税法上も社会保険上も扶養内でメリットを享受するのか、または社会保険上の扶養範囲内で働くのかなど、収入の基準を意識すれば効率よく働けるでしょう。
 

まとめ

扶養には2種類あり、税法上の被扶養者がいれば、扶養者が「扶養控除」を受けられます。一方、社会保険上の被扶養者となれば、保険料を負担せず社会保険に加入できます。
 
それぞれ適用条件が異なるため、収入基準などを意識しながら働きましょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
厚生労働省 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま
全国健康保険協会 協会けんぽ 被扶養者とは?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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