更新日: 2023.08.13 その他税金
独立後の生活が苦しくて親から年100万円の仕送り… 税金はどうなる?
本記事では、会社から独立してフリーランスになったものの、苦境に立たされている28歳・男性SEの話を見ていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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フリーランスとして生活できず、親から毎年100万円の仕送りをもらうRさん
Rさんは、地方都市に住んでいる28歳の男性だ。昨年、新卒で入社した会社から独立し、現在はフリーランスのSE(システムエンジニア)として働いている。一見、着実なステップアップを踏んでいるように見えるが、今まさに苦しい状況に追い込まれているのだという。
「恥ずかしい話ですが、自分で受注した案件だけで生計を立てられる状態にまでには、まだなっていません。会社員時代は月給で35万円くらいだったのが、今では15万円程度にまで下がってしまいました」
実績や経験、スキルがあるからといって、誰でもすぐに仕事を獲得できるわけでない。Rさんも、案件を安定的に獲得するのは難しいようだ。地方都市といえど月給15万円では、日々の生活も苦しくなるだろう。
そこで、Rさんはこうした状況に対処するため実家を頼った。
「今はまだ仕事がないんですけど、もう1年もすればすぐに案件を継続的に獲得できる自信があります。とはいえ、その1年を過ごすための生活資金が必要だったので、親に頼み込んで毎月の家賃と食費を援助してもらっています。だいたい毎月8万円ですかね」
苦しい現状にあるRさんだが、毎日案件獲得に向けて営業を行っており、将来に対する不安はないようだ。しかし、フリーランスとしての収入だけでは生活が苦しいため、親から毎月約8万円、年間にしておよそ100万円の仕送りをもらっている。
さらに、こうした中で日々の生活費や仕事とは異なる部分で、疑問があるらしい。
「結構なお金を仕送りしてもらってるんですけど、税金とか大丈夫なんですかね。フリーランスになると税金関係も厳しくなるって聞いたんですけど、あまり詳しくなくて……。毎日仕事のことばかり考えているので、税金について調べる余裕がないんですよね」
親から毎年「生活費で100万円」税金はかかるのか
生活が苦しいと、本当にありがたい親からの仕送りですが、税金のことがよく分からないと不安になるでしょう。結論から言うと、「親からの仕送り年間100万円」は、税金の心配はありません。ただし税金がかからないケースにも条件があるため、確認しておきましょう。
本項では、親からの「贈与」と「仕送り」に税金はかかるのかについて、解説していきます。
年間110万円までは贈与税が課税されない
前述のとおり、Rさんが心配する「親からの年間100万円」の仕送りに、贈与税はかかりません。贈与税には、110万円以下の部分に基礎控除があります。そのため、1人が1年間(1月1日〜12月31日まで)に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら、贈与税は課税されないのです。この場合、贈与税の確定申告も不要になります。
親からの生活費仕送りは税金がかからない?
そもそも、親子間の生活費の仕送りに税金はかかりません。国税庁によると、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために取得した財産で、『通常必要』と認められるものに対しては、贈与に該当しない」と法律にも定められています。
ここでいう「通常必要」と認められる費用とは、次のとおりです。
●生活費(通常の生活に必要な費用)
●学費や教材費・文具類
●医療費
●養育費、子育てに関する費用
生活費仕送りに課税されるケースがある
110万円以下なら贈与税がかからないことは、先に説明しました。では、Rさんのような社会人への仕送りが110万円を超えた場合、税金はどうなるのでしょうか。実際に110万を超える部分の仕送りに関しては、生活費用と認められず、税金がかかる場合もあります。
それは、送金された分をそのまま貯蓄したり、投資にまわしたりするケースです。一方、旅行や飲み代などの遊行費、高額なブランド品や車の購入は、生活に必要なものとみなされないことが多いです。
このように生活費以外の使いみちや高額過ぎる仕送りは、贈与税の対象になってしまうので、あくまでも生活資金の範囲内を守りましょう。
まとめ
フリーランスの社会人が、親から毎年100万円の仕送りをもらっても、税金の心配がいらないことはお分かりいただけたと思います。
しかしRさんの場合、根本的な問題として、仕送りをもらわなくては生活できない現状があります。もし、「目先の仕事獲得で、毎日が精いっぱい」と感じているのであれば、いったん実家に戻り、生活を立て直してみるのもいいかもしれません。
現在はインターネットを通じて、自由に仕事ができるのもフリーランスのよいところです。
金銭的にも精神的にも余裕を持てる状況で、もう一度、独立後の生活を考えてみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4405 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー