更新日: 2023.08.26 その他税金

将来の家計はどうなる? 過去49年で驚くほど上がっていた「国民負担率」の実態と今後の予想

将来の家計はどうなる? 過去49年で驚くほど上がっていた「国民負担率」の実態と今後の予想
ただでさえ物の値段が上がり続けるなか、社会保険料の負担をより重く感じるようになってきたのではないでしょうか? 国民負担率は、1975年から49年間でなんと約82%も増加しています。この調子では生活がままならなくなってしまうのではないかと不安になるでしょう。
 
本記事では、国民負担率のしくみと今後の動向について考察します。

そもそも国民負担率とは

国民負担率とは、国民の所得のうち、税金や社会保険料の占める割合を指します。つまり、私たちの収入のうち「どれだけ租税公課が差し引かれているのか」を示す指標です。国民負担率には、次のような負担が含まれます。

・消費税
・所得税・法人税
・年金保険料
・健康保険料・介護保険料

物の価格が上がれば消費者が苦しくなるように、国民負担率が高くなれば、生活はどんどん圧迫されていきます。国民負担率は、私たちの生活のゆとりを測るうえで重要な指標だといえるでしょう。
 

国民負担率は49年間で82%増!?︎ 上がり続ける背景とは

残念ながら、日本の国民負担率は年々上がり続けています。図表1の財務省が発表したデータによると、日本の国民負担率は1975年からの49年間でなんと82%も増加しています。
 
【図表1】


財務省 負担率に関する資料
 
さらに知っておいてほしいのが、国民負担率は今後も増加の一途をたどるということです。日本では高齢化が進んでおり、高齢者の割合はまるで国民負担率と比例するかのように増え続けています(図表2)。
 
【図表2】

総務省統計局 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
 
国民負担率には「国民年金」や「健康保険の保険料」などが含まれるため、高齢者が増えると負担が増えてしまうのです。
 

国民負担率はそもそも世界と比べて高いのか

日本の国民負担率は増加し続けていますが、他の国と国民負担率を比較した場合、実はそこまで高いわけではありません。OECD(経済協力開発機構)に加盟する36ヶ国の社会保険料負担率を比較すると、日本は22位となっています(図表3)。
 


財務省 国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国)
 
ただし、国際比較で国民負担率が低かったとしても、決して安心はできません。なぜなら、社会保障制度の中身は国によって大きく異なるためです。
 
例えば、アメリカには国民皆保険制度がありませんが、代わりに国民負担率は低いです。反対に、ヨーロッパ諸国は日本より国民負担率が高い分、医療費の自己負担がないなど保障が手厚くなっている例もあります。
 
国民負担率の高さに見合った保障かどうかは、そう簡単には語れません。しかし、日本では国民負担率が上がれば上がるほど、負担に見合った保障からは遠ざかっていくことになるでしょう。
 

国民負担率は今後もどんどん増加する! これからの時代をどう生き抜くのか

高齢化などの要因により、日本の国民負担率はここ49年間で82%も増加しています。高齢化が終わらない限りはさらに増え続けるでしょう。
 
今後は社会保険料が増額されたり、社会保障が減らされたりする可能性が高くなります。そんな時代だからこそ、制度の改革に合わせて「自分はどうすべきなのか」を考えていく必要があるのではないでしょうか。
 
社会保険の自己負担が増えるなら、自分の健康は自分で守ることがより重要になります。また、年金が減らされるなら、率先して資産運用を行わなければなりません。今後、いかにして国に頼らず生きていくかが国民一人ひとりの課題になりそうです。
 

出典

財務省 わが国の税制・財政の現状全般 負担率に関する資料
総務省統計局 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
財務省 国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国)
 
執筆者:北川和哉
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