更新日: 2023.08.31 確定申告
子どもがフリマアプリで売買をしています。急に親の「税金」が高くなったりしませんか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
フリマアプリの売買は日用品などであれば基本は非課税
基本的に、子どもがお小遣いの範囲で行うフリマアプリでの売買で、税金が発生することはないでしょう。原則として、洋服や生活不用品を売却して得た収入は非課税となるからです。
しかし、そういった生活不用品の売買でも、繰り返し行い継続して利益を得ていると「雑所得」とみなされ、確定申告が必要となる場合もあります。また、ハンドメイド作品の販売なども、一定以上の利益が生じていれば課税対象になります。
具体的にどれくらい利益が出たら所得税は発生する?
子どもにも「基礎控除」という控除が適用されます。基礎控除の額は、ほかに所得がなければ48万円です。すなわち、利益(フリマアプリの売り上げから経費を引いたもの)が48万円以下であれば、所得は0円となり所得税は発生しません。
ただし、子どもがアルバイトをしている場合は要注意です。アルバイトの収入があるときは「給与所得控除」と基礎控除が同時に適用されます。給与所得控除額は最低55万円です。基礎控除額の48万円と合わせて、収入金額が103万円以下で、ほかに所得がなければ所得税はかかりません。
「年間のアルバイト収入の金額が103万円以内となるため、税金については大丈夫」と思っていたら、フリマアプリの売買による利益が存在することによって、子どもの収入に所得税や住民税がかかったり、税制上の扶養から外れたりして、親の支払う税金が高くなってしまうこともあるため、十分に確認することが大切です。
現実的に、子どものお小遣いの範囲で行えるフリマアプリの売買であれば、48万円の利益を得るということは、そうそう起こるものではありません。しかし近年では、購入時は定価数百円でも、フリマアプリで売却すると1枚で数万円どころか数十万円の値が付くトレーディングカードなども出現しています。
まだ学生の子どもがしていることだから……と考えていると、予想外の出来事が起こる可能性もあるため、注意が必要です。
親の税金も高くなるって本当?
子どもに税金が発生するということは、基本的に税制上の親の扶養から抜けてしまうほど稼いでいることになります。具体的な金額は個別の具体的な事情によっても異なるのですが、仮に親の年収が500万円程度で、16歳以上19歳未満の子どもが扶養から外れたとしましょう。
所得税と住民税の税率が10%である場合、子どもを扶養に入れていることで適用される扶養控除38万円が適用されなくなり、課税対象となる所得が38万円分上がります。それにより、親が支払う所得税と住民税の額は合計で7万6000円ほど増える見込みとなります。
まとめ
子どもがフリマアプリで行った売買による利益は原則非課税ですが、48万円を超えるほど継続して利益を得ていると、子どもに所得税や住民税が発生する可能性があります。それにより、子どもが扶養から外れ親の税負担が重くなることもあり得ます。
とはいえ、税制は複雑であり、個別の具体的な事情によって結論が異なることも珍しくありません。子どものフリマアプリでの売買によって税金に影響がないか心配であれば、売買の状況を確認するとともに、住所地を管轄する税務署に相談しておくことをおすすめします。
出典
国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
全国健康保険協会 被扶養者とは?
執筆者:柘植輝
行政書士