結婚したら配偶者の扶養に入ったほうが本当に得なの? 決めるポイントは何?
配信日: 2023.08.30 更新日: 2023.08.31
本記事では、社会保険や税金の側面から扶養の具体的な意味、扶養に入ることのメリット・デメリットを解説します。家計を最適化し、より豊かな生活を手に入れるための参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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扶養とは
結婚や親子関係、さらにはそれ以外の親族との関係でしばしば耳にする「扶養」には、「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」の2つがあります。本項では、社会保険や税金の観点から「扶養」の意味を解説します。
社会保険上の扶養
社会保険における被扶養者とは、被保険者に主として生計を維持される者を指します。具体的には、被保険者の収入によって生計を維持する、直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹が対象です。なお、同居の有無は問われません。
被扶養者として認められる条件は、被扶養者の年収が130万円未満、かつ被保険者の年収の2分の1よりも少ないことです。この条件を満たしていれば、被扶養者は追加の保険料を負担せずに、被保険者が加入している社会保険に加入できます。
税法上の扶養
税法上の扶養とは、親族を経済的に支え、配偶者等を扶養する場合、一定の条件を満たすことで配偶者控除が適用され、配偶者以外の親族を扶養する場合は扶養控除を受けられます。配偶者控除・扶養控除は、親族を養う納税者の経済的負担を軽減する目的で設けられた制度です。
配偶者控除の金額は控除を受ける納税者本人の合計所得金額、老人控除対象配偶者かどうかで異なります。控除額は、13万~48万円です。
ただし、納税者の合計所得金額が1000万円を超えると、配偶者控除の対象外となるため、全ての納税者が配偶者控除を受けられるわけではありません。
扶養に入るメリット
扶養に入る利点は、主に2つあります。
1つ目のメリットは、扶養される側が健康保険料や年金保険料の支払いを免除される点です。通常、これらの保険料は収入に関係なく支払う必要がありますが、扶養の対象となるとその義務がなくなります。
2つ目のメリットが、「配偶者控除」などの税制優遇によって、扶養する側の手取りが増える点です。課税対象となる収入が減少して、結果として税金の負担が軽くなります。総じて、扶養制度は経済的負担を軽減する大きな手段となるでしょう。
扶養に入るデメリット
扶養に入ることは、経済的に有利な点もありますが、デメリットも無視できません。最も大きな懸念点は、将来の年金額の減少です。一定の日数や時間を満たして勤務している場合は、厚生年金保険に加入するため一定の年金が保障されます。
しかし、扶養の対象となると、国民年金の第3号被保険者となるため厚生年金保険の加入がなくなり、受け取ることができる年金額が減少します。したがって、老後の生活を大きく左右する可能性があります。
また、「103万円の壁」「130万円の壁」とよばれる年収の制限もデメリットです。年収が103万円を超えると、配偶者控除を受けられなくなります。130万円以上になると社会保険料の扶養を外れなければなりません。扶養に入ることを選択した場合、所得の上限を気にしながらの就労となり、働き方が制約される可能性が高まります。
世帯収入が最適化できるよう扶養に入るかどうかを決めよう
結婚した際、配偶者が扶養に入ることは、経済的に有利に思える選択かもしれません。しかし、扶養に入ることで得られる税法上のメリットと、扶養者が収入を得る場合のデメリットをバランスよく考慮する必要があります。
特に世帯収入の最適化を目指す場合、収入の増減や生活費の変動、将来的なライフプラン、将来受け取る年金の金額など、多角的に検討するべきポイントが存在します。家計をよりよくするために、本記事の内容を参考にしてよく考えて選択しましょう。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1180 扶養控除
日本年金機構 Q 国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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