ふるさと納税が過去最高。もう一度仕組みと2023年10月からの改正点を見てみよう!
配信日: 2023.09.23
この数字からも分かるように、ふるさと納税は多くの方に認知されていると思われますが、本記事でもう一度ふるさと納税についてみていきましょう。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
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ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、2008(平成20)年5月から制度がスタートしました。ご自身の選んだ自治体にふるさと納税(=寄附)を行ったとき、2000円を超える部分の寄附額について、所得税と住民税から上限はありますが原則全額が控除される制度です。「納税」と名前が付いていますが、実際には、自治体への「寄附」です。
ふるさと納税には、以下の3つの意義があります。
1. 納税者が寄附先を選択することで税に対する意識が高まり、納税の大切さを考える機会
2. 生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度
3. 自治体の取り組みをアピールすることで自治体間の競争が進む(自治体向け)
税額控除以外のメリットは?
税額控除以外のメリットとして、ご存じのように返礼品があります。ふるさと納税=返礼品というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
返礼品には、米や肉、魚といった食料品だけでなく、家電や日用品、自治体によっては体験型の返礼品もあり、バラエティーに富んでいます。
ふるさと納税は、どれくらいの額・件数が行われているの?
「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和5年度実施)」によると、平成20年5月からスタートした最初の年度(平成20年度)の受入額は81億4000万円、受入件数5.4万件でした。
その後ワンストップ特例制度が導入された平成27年度に受入額が約1653億円、受入件数726万件まで増え、昨年度(令和4年度)は冒頭に記述したように、額・件数ともに過去最高になりました。
今年度(令和5年度)の住民税控除額および控除適用者数は約6797億円、控除適用者数は約891万人でこちらも過去最高になりました。
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どれくらい収入があるとふるさと納税をするメリットがあるの?
収入が多いほど、ふるさと納税を行える額は増えます。ただし、寄附する方の属性(独身・既婚、子どもの有無、住宅ローンの有無等)によって、ふるさと納税の納税額(寄附額)の目安は変わってきます。
一例を表にしますと、図表1のようになります。
【図表1】
今年10月から制度が見直される
今年10月から、以下の変更がなされます。
(1)募集適正基準の改正
ふるさと納税の返礼品に関して、返礼品の調達費用の割合を寄附額の3割以下、経費の総額を寄附額の5割以下にするルールがあります。しかし、募集に要する費用の経費の部分(送料、人件費、仲介サイトへの手数料等の事務経費)で、これまで含まなくてもよかった費用も含むようになります。
つまり、これまで以上に募集に要する費用の割合が上がることになり、返礼品の質量等が減少する、あるいは寄附金額の引き上げが行われる可能性が考えられます。
(2)地場産品基準の改正
現在の制度では、地元で加工や熟成された食品であれば、「地場産品」という扱いをしており、対象の米や肉などの生産地は国内外を問われておらず返礼品に含めることができています。
しかし、10月からは熟成肉と精米については、原材料がその都道府県内で生産されたものに限って「地場産品」として返礼品に含めることになります。
つまり、肉であれば海外から輸入した肉を単にその地域で熟成させただけでは返礼品とできなくなり、輸入した肉に独自の味付け等の加工をすることで付加価値を付けられた等の品物のみが返礼品に含めることとなります。
これまで以上に地域を応援するふるさと納税になる
われわれ消費者からすると、正味返礼品等の減少になってしまいますが、地方自治体にとっては付加価値を付けたりすることによって地域経済の活性化につながるなどのメリットがあります。
本来の意味で、自治体への応援という趣旨にはより近くなる改正ではないでしょうか。
出典
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果(令和5年度実施)
総務省 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安
総務省 ふるさと納税に係る告示の改正
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表