更新日: 2023.10.06 控除

ついに「年収の壁対策」が発動!? 年収106万円には「助成金50万円」なのに、年収130万円には「0円」で不公平? 政策の内容を解説

ついに「年収の壁対策」が発動!? 年収106万円には「助成金50万円」なのに、年収130万円には「0円」で不公平? 政策の内容を解説
2023年9月25日、政府は社会保険料の負担が発生することによって手取りが減る「年収の壁」問題を解消するための政策パッケージを公表しました。
 
主な内容は、年収106万円の壁については助成金50万円、年収130万円については2年までは扶養にとどまれるとするとなっています。
 
これだけを聞くと、「年収106万円は50万円もらえるのに、年収130万円には0円!?」と不公平に感じた人もいるのではないでしょうか。本記事で概要を確認していきましょう。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

対象は年収106万円と130万円の壁

この政策の対象となるのは、社会保険の扶養が問題となる年収106万円と年収130万円の壁です。これらの年収を超えて働くと、扶養から外れて社会保険料の負担が発生するため、頑張って働いたのに手取りは減るという事態になります。
 
そして、働ける人が意図的に働かない「働き控え」の原因となっています。政府は就労促進や人材確保を目指すため動き出したというわけです。なお、年収106万円は従業員数が101人以上の会社で働いている人、年収130万円は100人以下の会社で働いている人が該当します。
 

年収106万円と130万円の違いは会社の従業員数

政策は年収106万と130万円で分けられているようですが、両者の違いは働いている会社の従業員数です。それで政策に不公平があるとしたら、多くの人は不満を感じますよね。106万円と130万円に対する政策をそれぞれ見ていきましょう。
 

年収106万円の壁には最大50万円の助成金

年収106万円の壁に対しては、会社を対象にした助成金制度が創設されます。年収106万円を超えて働き出した従業員の手取りが減らないよう、賃上げや勤務時間を増やすなどの対策を行った会社に対して1人当たり最大50万円が助成されます。
 
つまり、従業員本人が年収107万円稼いだからといって、本人の口座に50万円が振り込まれるわけではないのです。支給された最大50万円をどう使うのかは会社次第で、従業員本人については社会保険に加入しつつも、社会保険料負担は実質0円という取り扱いが考えられます。
 

年収130万円の壁には連続2年まで扶養に

年収130万円には、壁を超えても連続2年までなら扶養のままでい続けられる方針が決まりました。
 
例えば、月収12万円稼いだ場合の社会保険料は、東京都在住で介護保険第2号被保険者に該当する場合で1万7770円、年間にすると約21万円です。2年分の納付がなくなるので、お得になる金額は約42万円にもなります。
 

まとめ

2023年10月より、年収106万円の壁には会社へ最大50万円の助成金、年収130万円の壁には連続2年まで扶養にとどまれるようにすることが発表されました。助成金については会社に支給されるので、社会保険料の会社負担分もそれでまかなうとなると、従業員本人にあてられる金額は最大25万円程度となるでしょう。
 
また、助成金を受け取るには会社次第な面もあることから、確実に従業員本人に恩恵があるとは言い切れない部分があります。年収130万円の方については扶養が続くことになるので、適用を受けられやすいのではないでしょうか。
 
いずれにしても、働き控えをしている人たちにとってデメリットはない政策といえるでしょう。10月の動き出しが注目されます。
 

出典

全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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