月額8万円のパートを始めました。今月は残業が多く2万円ほど増える見込みです。扶養からはずれるのでしょうか?
配信日: 2023.10.06
そこで本記事では、パートタイマーが社会保険の扶養からはずれる条件を整理するとともに、残業代が社会保険の加入判定に影響するかどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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パートタイマーが社会保険の扶養からはずれる条件をおさらい
パートタイマーでも、労働時間や日数、給与の金額などが条件に当てはまる場合は、配偶者などの扶養をはずれ、自らが健康保険・厚生年金保険(以下、社会保険)に加入することになります。主な判断基準には俗に「4分の3基準」と呼ばれるものと「短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」の条件があります。
具体的にはどのような基準が定められているのか、それぞれ見てみましょう。
収入が130万円以上の場合
社会保険の扶養からはずれる基準としてよく知られているのが、いわゆる「130万円の壁」です。社会保険の被扶養者の基準は収入が130万円未満かつ被保険者(配偶者など)の2分の1未満と定められており、収入が130万円を超えると被扶養者になれません。
パート収入が8万円で、1ヶ月だけ10万円になったとしても年収は130万円に届かないため、この基準はここではあまり気にする必要はないでしょう。
4分の3基準に当てはまる場合
4分の3基準とは、労働時間・労働日数を同じ職場で同じ業務を行っている一般社員と比較して、社会保険の加入を判定する基準です。1週の所定労働時間および、ひとつきの所定労働日数が、どちらも一般社員の4分の3以上になると、社会保険の加入が義務づけられます。
例えば、一般社員の1週の所定労働時間が35時間、ひとつきの所定労働日数が22日の場合を考えてみましょう。この職場では、一般社員の4分の3に当たる1週の所定労働時間26.25時間以上、ひとつきの所定労働日数が16.5日以上働いている従業員であれば、パートタイマーやアルバイトでも社会保険の加入対象となります。
4分の3基準に当てはまる場合、収入額にかかわらず社会保険の加入対象となるため注意しましょう。
短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用の拡大の条件に当てはまる場合
平成28年10月以降、短時間労働者の社会保険の適用が拡大され、4分の3基準に当てはまらなくても、次の基準に当てはまる人は、扶養からはずれて社会保険に加入するようになりました。
・「特定適用事業所(※1)」「任意特定適用事業所(※2)」「国・地方公共団体に属する事業所」のいずれかに勤務している
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金の月額が8万8000円以上
・学生でない
・雇用の見込みが2ヶ月を超える
パート収入が月額8万円であれば、この条件には当てはまりません。
※1:1年のうち6月間以上、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は除く)の総数が101人以上(令和6年10月からは51人以上)となることが見込まれる企業など。
※2:特定適用事業所に該当しないものの被保険者の同意にもとづいて、短時間労働者の社会保険適用拡大の対象事業所となった企業など。
残業代は社会保険の加入判定に影響する?
本来、月額8万円の収入の人が、残業代で一時的に10万円に増えた場合、短時間労働者の社会保険適用の拡大の対象になり、扶養からはずれてしまうのでしょうか。
結論から述べると、残業代で一時的に増えた収入は短時間労働者の社会保険加入の判定に影響せず、扶養からはずれることはありません。短時間労働者の社会保険加入の判定基準である「所定内賃金の月額」とは、基本給と毎月、支払われる諸手当を指しており、臨時的な収入は含まないためです。
残業代のほか、次のような収入も短時間労働者の社会保険加入の判定の際には賃金の月額から除外されます。
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
・時間外労働、休日労働、深夜労働の割り増し賃金など
・最低賃金に算入されない手当(通勤手当、精皆勤手当、家族手当)
毎月決まって支払われる賃金の金額が扶養になるかどうかの判定基準になる
パートタイマーが社会保険の扶養からはずれるのは、4分の3基準にあてはまる場合、または拡大された短時間労働者の社会保険加入基準を満たす場合です。
4分の3基準にも短時間労働者の社会保険加入基準にも当てはまらない条件で雇用されている人であれば、残業で一時的に収入が増えても、それが理由で扶養からはずれることはありません。
出典
全国健康保険協会 被扶養者とは?
日本年金機構 私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー