更新日: 2023.10.09 その他税金
たばこの6割は税金!? たばこ税が増税するなかで加熱式が値下げしたのはなぜ?
本記事では、紙巻きたばこの値上げが行われている一方で、加熱式たばこの値下げが行われている理由や背景について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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たばこ代の約6割は税金
財務省の資料を見ても、ここ数年は毎年のようにたばこ税の増税・値上げが行われています。令和5年4月現在、代表的な紙巻たばこ1箱(20本)当たりのたばこ税等の税額及び税負担割合は、消費税と合わせて「61.7%」です。
つまり、たばこの販売価格の大半は税金です。厚生労働省は、「たばこの値上げは、健康面からたばこ消費の削減、経済面からたばこ税の増収となる一石二鳥の政策」と主張しています。また、「国民の健康を守るためには、たばこ増税による価格の大幅な値上げが必要である」とも述べています。近年は健康増進への意識が高まっている以上、今後もたばこの値上げが行われる可能性は高いでしょう。
加熱式たばこは競争激化から値下がりが期待できる
紙巻きたばこの値上げが行われている一方で、加熱式たばこに関しては値下げが行われています。2023年に、JTやBATなどの加熱式たばこの一部商品の値下げが発表されました。
加熱式たばこは近年シェアの奪い合いが起こっており、各社のシェア拡大に向けた価格競争が激しくなっていることが、加熱式たばこの値下げが起きている理由です。加熱式たばこは、紙巻きたばこよりも発がん性物質の含有量と室内におけるニコチン含有量が低いため、健康面から注目度が高まっている点が特徴です。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、習慣的に喫煙している人の内、「加熱式たばこ」を吸っている人の割合が男性27.2%、女性25.2%でした。喫煙者の約4人に1人が加熱式たばこを吸っていることから、たばこ会社としても加熱式たばこのユーザーを囲い込みたい思惑があります。
競争が激しくなっているなかで顧客離れが起きてしまうと、その後の顧客獲得で苦労する可能性があります。そのため、加熱式たばこの値下げは、たばこ会社が収益力を維持するための対策と言えるでしょう。
今後も、加熱式たばこ各社における値下げ競争が進むことが考えられます。加熱式たばこのユーザーが増えると、さらに安く購入できる加熱式たばこが登場するかもしれません。
まとめ
加熱式たばこは、紙巻きたばこよりも健康的であるという特徴があります。今後ますます加熱式たばこの市場が拡大するにつれて競争が激しくなることが予測されるため、シェア獲得のために値下げ競争が行われる可能性が考えられるでしょう。実際に、たばこ企業も加熱式たばこに関して「健康的」といったイメージでマーケティングしています。
紙巻きたばこは今後も値上げが行われる可能性が高い一方で、値下げが期待できる加熱式たばこは、コスト面から相対的な魅力が高まっています。
出典
財務省 たばこ税等に関する資料
厚生労働省 国民を守るためのたばこ増税政策
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要p.31
厚生労働省 加熱式たばこにおける科学的知見
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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