更新日: 2023.10.11 控除
2025年に「扶養パート」終了?「年収55万円」でも社会保険料を「11万円」負担するって本当? 社会保険の適用拡大について解説
本記事では、2025年に扶養パートの取り扱いがどう変わるのかについて解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
2023年10月時点の年収の壁は106万円または130万円
社会保険の扶養に入れるかどうかの基準となる年収額、いわゆる「年収の壁」は、2023年10月時点で106万円または130万円となっています。従業員数101人以上の会社で働く人の年収の壁は106万円、それ以外の人は130万円です。
なお、2024年10月からは101人以上が51人以上に改正されることが決定しており、年収106万円の壁に該当する人がまた増えることになります。
2025年にさらなる適用拡大が検討されている
厚生労働省は被用者保険の適用拡大について話し合いを進めており、年金部会では「大胆な適用拡大を進めていくべき」との意見が出ています。「厚生年金保険料の下限8万8000円は大胆に下げられるのではないか」とも言われており、年収106万円の壁を大きく下回る金額が設定される可能性があります。
もし、年収55万円で社会保険加入となった場合の社会保険料については、まだ社会保険料の設定がないことから正確な金額は計算できませんが、現在の最も低い標準報酬月額5万8000円(年収約70万円)では月1万1479円(東京都、介護保険第2号被保険者に該当する場合)、年間で約14万円、年収の2割が社会保険料です。年収55万円では11万円程度になるのではないでしょうか。
また、企業規模要件の撤廃についても議論されており、2025年には従業員数の制限もなくなる可能性があります。
「年収55万円」はただのウワサ
2025年の社会保険制度の改正については、政府はまだ「検討」している段階です。具体的にどうなるか、現時点では何も公表されていません。新たな年収の壁が55万円になるというのは、ウワサ程度に思っておきましょう。
ただ、政府が社会保険の適用範囲をさらに拡大させようと検討していることは事実です。
例えば、厚生年金保険料の下限8万8000円が、健康保険料の下限5万8000円まで下げられることになった場合、年収の壁は約70万円になるでしょう。年収130万円で働いている人が引き続き扶養で働こうとすると、年収が半減してしまいますね。
まとめ
2023年10月時点において、「2025年から年収55万円以上の人は社会保険加入」という決定はありません。ただ、政策の流れから見ると、扶養に入れる条件がさらに厳しくなる可能性は高いです。
社会保険に加入することで「厚生年金を受け取れる」というメリットはありますが、扶養に入る条件がより厳しくなるのであれば、現在扶養内で働いている人の家事や育児、介護に割く時間が減っても支障がないように制度なども整えてほしいものです。
出典
厚生労働省 被用者保険の適用拡大
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士