更新日: 2023.10.21 その他税金

いざというときに備え「タンス預金」をしています。金額が100万円を超えたのですが、税務署などにバレたら問題ですか?

いざというときに備え「タンス預金」をしています。金額が100万円を超えたのですが、税務署などにバレたら問題ですか?
現金がすぐに必要になったときに備えて「タンス預金」をしている人は少なくありません。「タンス預金」がいつの間にか高額になっていたというのもよく聞く話です。では、そんな「タンス預金」が税務署にバレた場合はどうなるのでしょうか。本記事ではその疑問に答えるとともに、災害時における「タンス預金」の補償の有無などについても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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「タンス預金」とは何か?

2020年12月末に個人保有の現金が初めて100兆円を突破しました。この「現金」に預金は含まれていないため、この100兆円は「タンス預金」などであると考えられています。
 

・「タンス預金」とは

「タンス預金」は、金融機関に預けずに自宅に保管している現金のことです。タンスという言葉が付いていますが、保管場所はタンスに限りません。金庫はもちろん、机の引き出しでも冷蔵庫の野菜室でも、とにかく金融機関に預けずに自宅に保管している現金はすべて「タンス預金」です。
 
そんな「タンス預金」の語源については、「銀行などがなかった時代に家のタンスに現金を保管していたから」というのが通説となっています。
 

「タンス預金」が税務署に知られたら問題になる?

個人が自宅に現金を保管していても、当然のことながら法的には何ら問題はありません。問題があるとすれば、相続した「タンス預金」に相続税がかかるにもかかわらず、税務署に申告しなかった場合です。相続税は、死亡した被相続人から財産を相続した人(相続人)が納税する税金です。
 
「財産を取得した各相続人の課税価格の合計額」が「遺産に係る基礎控除額」を超えた場合には、相続税の申告が必要になります。「遺産に係る基礎控除額」は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。
 
相続税は申告漏れが起こりやすい税金の1つのため、税務署は増加傾向にある「タンス預金」にも目を光らせています。ただし、相続した遺産が100万円の「タンス預金」のみであれば「遺産に係る基礎控除額」を超えないため、相続税の申告は必要ありません。そのため、もし税務署に知られたとしても問題にはならないでしょう。
 

災害で失った「タンス預金」は補償される?

とは言え、自宅にまとまったお金を保管するとなると、リスクも考えられます。例えば、自宅に保管していた現金を災害などで失った場合、火災保険や地震保険で補償されるのでしょうか。
 

・災害で失った「タンス預金」は原則補償されない

原則として、火災や地震で失った「タンス預金」は、火災保険や地震保険では補償されません。火災保険は火災の他に、風災、水災、雪災で被害を受けた建物や家財を補償する保険です。また、地震保険は火災保険とセットで契約する保険で、地震や津波で被害を受けた建物や家財を補償します。
 
ただし、いずれの保険も、基本的に火災や地震などで失った現金は補償の対象外です。なお、盗難も補償される火災保険では、空き巣によって盗まれた現金については補償されます(20万円まで)。
 

相続税の申告が必要な場合には必ずその旨を伝えておこう

「タンス預金」を火災や地震などで失った場合、原則火災保険や地震保険による補償の対象外となります。盗難補償がある火災保険では盗まれた現金も補償されますが、20万円までという上限があります。
 
また、相続した遺産が100万円の「タンス預金」のみであれば、相続税の申告は必要ありません。ただし、「タンス預金」を含む遺産の課税価格の合計が、相続税の「遺産に係る基礎控除額」を超えていた場合には、相続税が発生し、申告が必要になります。
 
相続人が無申告のままでいると、税務署の税務調査を受ける可能性があるため注意が必要です。場合によっては追徴課税や重加算税を課される可能性もあるため、「タンス預金」を含む財産について、相続税の申告が必要になりそうな場合には必ずその旨を相続人に伝えておきましょう。
 

出典

国税庁 相続税のあらまし

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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