更新日: 2023.10.26 その他税金

給料から天引きと聞いていた「住民税」!なぜか納税通知書が届きましたが、無視してもいいですか?

執筆者 : 柘植輝

給料から天引きと聞いていた「住民税」!なぜか納税通知書が届きましたが、無視してもいいですか?
会社員などの給与所得者で、毎月の給料から住民税が天引きされているにもかかわらず、自宅に納税通知書が届くという事例が時折あるようです。
 
なぜ天引きされているはずの住民税について納税通知書が送られてくるのか、放置してもいいのか、その際に生じるであろう疑問を解決していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

納税通知書は放置してはいけない!

自治体から住民税の納税通知書が届いたときは、給与から天引き(特別徴収)されているので自分には関係ないと決めつけて放置しないようにしてください。
 
住民税を未納のままにしていると、延滞税が加算されて本来の税額より多く支払うことになったり、最終的に財産が差し押さえられたりするなど不利益が生じる可能性があるからです。
 
また、税金の滞納履歴は住宅ローンなどを組む際の審査に悪い影響を及ぼすこともあります。
 
とはいえ、自宅に届いたのが偽の納税通知書で詐欺というケースもあります。そのため、まずは通知書の内容にしっかりと目を通し、少しでも不審な点があれば納付する前にお住まいの市区町村役場に確認することが大切です。
 
なお、住民税は1月1日時点で居住している市区町村で課税されます。転居した場合など時期によって、前の住所地の市区町村から納税通知書が届く場合もあることにご注意ください。
 

なぜ給与から住民税が天引きされているのに納税通知書が届く?

給与から住民税が天引きされているのに納税通知書が届く理由の一つとして考えられるものに、給与以外の所得の存在があります。
 
給与以外の所得には不動産所得や配当所得、公的年金等の雑所得のほか、副業による収入なども含まれます。
 
それらの所得について確定申告や住民税の申告を行った際に、給与以外の所得にかかる住民税の納付方法を「自分で納付」という選択をしていた場合、その分の住民税は給与から天引きされず、納税通知書を使って自身で納める必要があります。
 
また、給与以外の所得の住民税の額が支払われる給与の額に対して大きく、天引きすることが困難である場合にも納税通知書が届きます。
 
そのほかにも納税通知書が送られてくるケースとしては、退職によって住民税を自身で納付する普通徴収に切り替えたことで、前年度の住民税の一部が給与から天引きできなかった場合なども挙げられます。
 
なお、住民税は前年の所得に基づいて決定された額をその年に支払うことになるため、退職後に無職であっても納付義務が生じて納税通知書が届きます。
 
いずれにせよ、さまざまな理由が考えられるので、納税通知書に心当たりがなければ発送している市区町村役場へ問い合わせるのが確実です。
 

住民税は納付方法の変更や猶予・減免の申請もできる

住民税の普通徴収には年4回(1期~4期)の納付期限がありますが、期限内に支払うことが困難な場合、申請により毎月一定額に分割して納付することも可能です。それでも納付が難しい状況であれば、支払いについての猶予のほか住民税の減免が適用されることもあります。
 
ただし、減免については要件が厳しく、生活保護による扶助を受けているほか、災害や失業、病気といった理由で収入が大きく減少、または無収入となって生活に困窮し、その状態が2年以上継続すると見込まれる場合などに限られます。
 
納税通知書が届いても、納付期限までには住民税の支払いが難しいというときは、速やかに市区町村役場に相談するようにしてください。
 

まとめ

給料から住民税が天引きされていても、給与以外の所得を申告している場合や退職したタイミングなど、さまざまな理由から納税通知書が届くことがあります。納税通知書が届いたら決して放置せず、心当たりがあれば速やかに住民税を納付し、不明な点があるときは発送元の市区町村役場へ確認してください。
 

出典

国分寺市 給与から住民税(市民税・都民税)が特別徴収(天引き)されているのに納税通知書が届きました。納税通知書で納める必要がありますか

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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