更新日: 2023.10.27 確定申告

「一時所得」ってなに? 一時所得の注意点は? FPが解説!

執筆者 : 北山茂治

「一時所得」ってなに? 一時所得の注意点は? FPが解説!
10種類ある所得のなかで、「一時所得」は少し変わった所得です。税制面では、退職所得ほどではありませんが、他の所得に比べて有利な税制になっています。
 
民間の生保損保の満期保険金や解約返戻金などを受け取った場合に該当しますので、その場合、どう計算するか、どんな注意点があるかを解説します。
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

一時所得とは

一時所得とは臨時的・偶発的な所得です。営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務・役務の対価や資産の譲渡によって発生する対価としての性質を持たない一時的な所得のことです。下記の所得が一時所得に該当します。
 

<一時所得の例>

・生命保険の満期保険金や解約返戻金の一時金での受け取り
・損害保険の満期返戻金や解約返戻金の一時金での受け取り
・懸賞や福引・クイズの賞金
・競馬や競輪の払戻金(宝くじの当選金は非課税です)
・法人から贈与された金品
・遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
・ふるさと納税の返礼品

一時所得の計算方法

一時所得の金額は、下記のように計算します。
 
総収入額-収入のために支出した額-特別控除額(最大50万円)=一時所得の金額
 
■収入を得るために支出した金額
収入を得るためにかかった直接的な経費のことです。払い込んだ生命保険料などが該当します。
 
■特別控除額
一時所得には、最大50万円の特別控除が設けられています。「総収入額-収入を得るために支出した金額」が50万円未満の場合はその全額が、50万円以上の場合は50万円が控除されます。
 
例として、満期の保険金を受け取った場合の一時所得を見てみましょう。それまでに支払った生命保険料が400万円あったとして、満期時に500万円を受け取る場合、一時所得は50万円です。
 
500万円-400万円-50万円=50万円
 

納める税金は

一時所得の確定申告は、その他の所得(事業所得、給与所得など)と合算します。つまり、総合課税の対象です。ただし「一時所得となる金額」の全額が所得に数えられるわけではなく、他の所得と合算されるのは「一時所得となる金額」の2分の1のみです。
 
一時所得とその他の所得(事業所得、給与所得等)を合わせた全体の所得の計算式は、下記のようになります。
 
確定申告における総所得の額=一時所得となる金額×1/2+その他の所得金額
 
上記の例では、
 
50万円×1/2=25万円
 
25万円とその他の所得の合計額が総合課税の対象です。
 
また、懸賞金付預貯金等の懸賞金等や、一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。注意しましょう。
 

確定申告が不要な場合

すべての一時所得が所得税の確定申告が必要なわけではありません。1ヶ所のみから給与を受けている給与所得者であれば、給与所得・退職所得以外の所得の合計金額が年間20万円以下の方は、確定申告は必要ありません。
 
つまり、その他の所得が一時所得のみの給与所得者は、一時所得の総収入が90万円以下の場合に確定申告が不要となります(特別控除後の金額を1/2したあとの金額で、一時所得となる金額が20万円以下となるという意味です)。
 
ただし、注意点があります。一時所得の金額が20万円以下の給与所得者であっても、以下に当てはまる場合は、確定申告が必要です。


・年収が2000万円を超える人
・副業・兼業をしている人
・一時所得以外に、給与ではない所得があり、その所得が合計20万円を超える人

いかがでしょうか。一時所得の特徴を理解して、間違わないように注意しましょう。
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

ライターさん募集