更新日: 2023.11.02 ふるさと納税

ふるさと納税の仕組みとルールの厳格化について解説! 10月から厳しくなったのはどんなこと?

執筆者 : 新美昌也

ふるさと納税の仕組みとルールの厳格化について解説! 10月から厳しくなったのはどんなこと?
ふるさと納税の受入額および受入件数は、平成27年度以降大きく増えています。総務省の調査によると、平成27年度の実績は1652.9億円・726.0万件でしたが、令和4年度は9654.1億円・5184.3万件と大人気です。
 
人気の秘密は、選んだ地方自治体に寄付すると支払ったお金が2000円を除いてほとんど戻ってくる一方、2000円以上の返戻品などをもらえる点です。
 
この記事では、ふるさと納税の仕組みと注意点、そして10月からの改正事項について解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

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ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、都道府県・市区町村にお金を寄付することで、2000円を超える部分について、一定の上限額まで、原則として所得税・住民税から全額が控除される制度です。
 
たとえば、年収700万円の給与所得者(夫婦子なし)が3万円のふるさと納税をすると、2000円を除く2万8000円が控除されます。
 
ただ、これだけでは2000円の自己負担が発生するのでメリットは薄いといえます。そこで、自治体では2000円以上の価値のある特産品などの返礼品をそろえて寄付を後押ししています。返礼品だけでなく、寄付金の使いみちも指定できる自治体もあります。
 
「ふるさと」となっていますが、自分の出身地以外の寄付もできますし、複数の自治体にふるさと納税をすることもできます。
 

所得税・住民税の控除の仕組み

2000円を超える部分について、一定の上限額まで、原則として所得税・住民税から全額が控除されます。所得税・住民税の控除の仕組みは以下のとおりです。
 

(1)<所得税について>

(ふるさと納税額-2000円)を所得控除
 

(2)<個人住民税(基本分)について>

(ふるさと納税額-2000円)×10%を税額控除
 

(3)<個人住民税(特例分)について>

(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率)を税額控除

※(1)(2)により控除できなかった額を、(3)により全額控除(所得割額の2割を限度)
 
年収700万円の給与所得者(夫婦子なしの場合、所得税の限界税率は20%)が、3万円のふるさと納税をした場合で計算してみましょう。


(1)所得税の節税額は、5600円(=2万8000円×20%)です。
(2)個人住民税(基本分)の節税額は、2800円(=2万8000円×10%)です。
(3)個人住民税(特例分)の節税額は、1万9600円(=2万8000円×(100%-10%-20%))です。

以上より所得税と合わせた節税額は2万8000円となります。
 

注意点1 寄付金控除の手続きをする

寄付金控除の手続きをしないと節税効果が受けられません。控除を受けるためには、ふるさと納税をした翌年に、原則、確定申告を行うことが必要です。
 
ただし、ふるさと納税先が5団体以内の場合、ふるさと納税先団体に申請することにより確定申告不要で控除を受けられる手続きの特例があります(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。
 

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注意点2 寄付金額の上限がある

対象となる寄付金額には上限があります。所得税は「総所得金額等の40%」、住民税(基本分)は「総所得金額等の30%」が限度です。
 
これを越えて寄付すると自己負担額が2000円を超えます。たとえば、給与収入300万円で独身の方は、2万8000円以下のふるさと納税であれば自己負担額は2000円です。4万円のふるさと納税をした場合、超える1万2000円分の自己負担が増えることとなります。
 
ふるさと納税をする際は、総務省のふるさと納税ポータルサイトにあるシミュレーションなどで、上限額の目安を確認しておくとよいでしょう。
 

注意点3  所得があることが前提

ふるさと納税の仕組みからわかるように、所得(≠収入)のない人がふるさと納税をしても節税メリットはありません。たとえば、夫が給与取得者で、妻が専業主婦の場合、夫名義でふるさと納税をしましょう。
 

10月からルールが厳格化

ルールの厳格化は大きく2点あります。
 
返礼品は「寄付額の3割以下」、募集費用は「経費総額5割以下」というルールがあります。2023年10月か「5割以下」のルールが厳格化され、ふるさと納税の募集を行ったことや寄付金を受領したことにより発生したと考えられる付随費用も募集費用に含めることとなりました。
 
具体的には、ふるさと納税のポータルサイト利用に関する手数料、寄付金に係る受領証の発行事務に要する費用、ワンストップ特例に係る申請書の受付事務に要する費用などです。
 
これらの経費も募集費用に含めると経費の総額が5割を超える自治体もあり、寄付金額の引き上げなどが懸念されます。
 
さらに、地場産品基準についても厳格化され、10月からは、加工品のうち主に熟成肉と精米については、原材料が同じ都道府県内で生産されたものでなければ返礼品として認められなくなります。この影響は大きいといえます。多くの人気返礼品が10月から姿を消すことになるでしょう。
 
また、返礼品がセット商品の場合、地元産の返礼品が「価値全体の7割以上」を占める必要があります。したがって、地元以外で製造されたビールと地元で生産されたタオルをセットにしたものは認められなくなります。
 
ふるさと納税をする予定の人、検討中の人は、以上のことに注意しましょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト 関連資料
総務省 報道資料一覧 ふるさと納税の次期指定に向けた見直し
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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