更新日: 2023.11.14 その他税金

タンス預金は「1000万円」までにすべき? 個人も対象になる「税務調査」で問題にならないための対策を紹介

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

タンス預金は「1000万円」までにすべき? 個人も対象になる「税務調査」で問題にならないための対策を紹介
現金を銀行などに預けるのではなく手元に置いておく「タンス預金」。当面の生活費に使う額から、金庫が必要になるような額まで、金額はさまざまですが、ともすると脱税疑惑がかけられてしまうことをご存じですか?
 
タンス預金が「申告漏れ所得」とみなされ「税務調査」の対象にならないためには、タンス預金の金額をいくらまでに抑えればいいのか、本記事で考察します。
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タンス預金の限度額は目的によって異なる

タンス預金をする目的はさまざまですが、高額の場合は以下のように問題となることがあります。
 

●相続トラブルにつながる
●「申告漏れ所得」として脱税扱いとされる

 
相続税対策としてタンス預金を考えているなら、税務署には把握されてしまうため、すべきではないといえます。タンス預金は、隠し財産として絶対に見つかるからです。税務署は相続人・被相続人の金融機関に問い合わせて、過去の取引を何年もさかのぼって調べることができます。
 
もし不自然なお金の動きがあれば、税務署はそのお金の出所や行き先を徹底的に調査し、突き止めます。相続税対策を得意とする税理士法人の中には「100万円以上のタンス預金は絶対にすべきではない」とアドバイスしているところもあります。ここからわかるように、一般に「100万円」以上の金額の場合に、タンス預金が疑われることが多いようです。
 
一方、所得税の申告漏れになるかどうかは、また少し問題が変わります。税務調査でタンス預金の金額がいくら以上だと問題なのか、実は答えはありません。問題にならないためには金額をいくらまでにすればいいのでしょうか? 会計事務所などの通説としていわれている額が「1000万円」です。
 

個人でも税務調査は来る

税務調査とは、税務署による「任意調査」と「強制調査」のことをいいます。法人だけでなく個人も対象で、以下の人たちが主に調査を受けます。
 

・個人事業主やフリーランス

調査対象:売上・必要経費など
 

・富裕層

調査対象:株式などの譲渡所得
 

・相続人・被相続人

調査対象:隠し財産、過去の取引
 

・無申告者

調査対象:所得税、消費税の申告をしなかった人
 
所得隠し、財産隠しとしてタンス預金をする人ばかりではないでしょうが、疑いを掛けられることを避けるためにも、不必要なお金を手元に置いておかないのが無難でしょう。もし所得隠しとみなされた場合、追徴課税を納めなければなりません。
 

所得隠しは1件当たり1613万円

「タンス預金は1000万円まで」の根拠として、実際に税務調査を受けた人の隠し所得がいくらなのか、調べました。国税庁の令和3事務年度税務調査(実地調査)報告書によると、申告漏れ所得は1件当たり1613万円です。申告漏れが見つかった人は追徴課税323万円を納めています。
 
国税局としては当然、金額の大きいものから着手したいでしょうから、平均である1613万円が調査対象のボーダーラインだろうと推測できます。
 
国税局は令和3事務年度(令和3年7月~令和4年6月)に2万4067件の実地調査(特別調査・一般調査)を行い、そのうち2万1625件の申告漏れを見つけ出しました。見つかった所得隠し(申告漏れ所得)は計3882億円、追徴課税は777億円です。国税庁が、申告されていない所得をいかに確度高く見つけ出すのか、数字から察せられます。
 

タンス預金は「当面の生活費」の範囲内で

タンス預金は危険、とはいっても「少しは手元に置いておきたい」という人はいるでしょう。その場合、「所得隠し」「財産隠し」ではないと証明できる範囲の金額に抑えておくことが良いでしょう。例えば、年収分に相当する額をタンスに仕舞い込んだり、何年も現金でタンスに積み立てたりする行為はNGです。
 
確証はありませんが、一般家庭の2ヶ月~半年分くらいの生活費相当額であれば、「所得隠し」「財産隠し」とはいわれないのではないでしょうか。生活費が30万円の家庭なら半年分で180万円、生活費が50万円の家庭なら半年分で300万円、という計算になります。
 
ただし相続税対策として考えるのであれば、「タンス預金はしない」ことが最善策です。するとしても100万円以内に収めるのが無難でしょう。
 
タンス預金はあくまで「当面の生活費」であることを念頭に置いて、大きい金額のお金を溜め込まないようにしましょう。
 

出典

国税庁 令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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