更新日: 2024.01.11 その他税金

2023年の今年の漢字は「税」に決定!「定額減税」や「インボイス制度」について改めて解説

執筆者 : 本条アカネ

2023年の今年の漢字は「税」に決定!「定額減税」や「インボイス制度」について改めて解説
毎年年末に発表される「今年の漢字」ですが、2023年は「税」に決定されましたね。
 
全国の応募数14万7878票の中で一番多い5976票(4%)を集めた漢字が「税」だったのですが、なぜ「税」が選ばれたのでしょうか。それは、1年を通して増税について議論され続けたことに加え、定額減税やインボイス制度の導入といった「税」に対する関心が高まったのが要因と思われます。
 
本記事では「定額減税やインボイス制度っていったい何?」という人に向けて、分かりやすく解説していきます。

定額減税とは?

物価高による国民の負担を少しでもやわらげるために、過去2年間で増えた税収分を国民に還元しようと発表されたのが「所得税・個人住民税の定額減税」と「低所得世帯への給付」です。
 

所得税・個人住民税の定額減税とは?

所得税・個人住民税の定額減税とは、「納税者とその扶養家族(配偶者を含む)に向けて、1人あたり所得税3万円、個人住民税1万円の計4万円を定額で減税しよう」というものです。
 
例えば、以下の世帯では、4万円×4人で合計16万円の減税となります。

●世帯主(納税者)
●配偶者(扶養家族)
●子ども2人(扶養家族)

ただし、年収2000万円を超える人は対象外の所得制限が設けられています。
 
定額減税のスタート時期は令和6年の6月、すなわち「夏のボーナス」の支給時期に実施したい考えのようです。4万円減税とはいえ、月々に換算すると3000円程度。国民の負担を、いったいどの程度までやわらげることができるのか気になりますね。
 

低所得世帯には追加支援も

所得の低い世帯はこのような対策ではじゅうぶんな支援が受けられないとの考えから、追加支援として「給付」も行うとしています。

●住民税非課税の世帯:3万円(2023年夏実施)+7万円給付
●所得税を納めていない世帯:10万円給付
●上記世帯のうち子育て世帯:子ども(18歳以下)1人あたり追加で5万円給付

2023年の夏以降に多くの自治体で実施されてきた、3万円を目安とした「物価高対策のための重点支援地方交付金」に加え、追加で7万円を給付するとしています。
 

インボイス制度とは?

「インボイス」とは「適格請求書」のことです。2023年10月から買手は「仕入税額控除」の適用を受ける際に、売手から交付されたインボイスの保存が必要になりました。インボイスが発行できるのは、課税事業者のみです。
 

目的は消費税額の正確な把握

今までは受け取った請求書に消費税の記載がない場合、買手側が自ら記入し「仕入れた品物の税率が8%だったのに、10%で計上し差額2%分の不当な利益を得る」ことが可能でした。インボイス制度はこれを防ぎ、10%と8%の2種類の消費税が混在する中でも、正確な消費税額をしっかり把握することを目的としています。
 
個人事業主やフリーランスの人も、仕入税額控除を受けるためにはインボイスの保存が必要です。
 
さらに、インボイスを発行するために課税事業者になると、消費税を納めることになるので負担が増える、免税事業者だとインボイスが発行できず取引先が仕入税額控除を受けられないため、仕事が減る可能性があるといった理由から反対の声があがっていたために、このインボイス制度は注目されていました。
 

まとめ

2023年は1年を通して定額減税やインボイス制度などの税に関する議論が続いていました。この2つは多くの国民が対象であることから注目を集め、2023年の今年の漢字に「税」が選ばれたのだと思われます。
 
毎年一般からの応募によって決まる「今年の漢字」ですが、その理由を知るとその年の出来事を振り返ることができるので面白いですね。
 

出典

自由民主党 公明党 令和6年度税制改正大綱
国税庁 インボイス制度の概要
内閣府 新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置
 
執筆者:本条アカネ
FP2級

ライターさん募集