今年は医療費が「10万円以上」あるので確定申告をします。年末調整の時に会社に伝える必要ありますか?
配信日: 2024.01.10
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
医療費控除とは
医療費控除とは所得税や住民税を減らすことができる所得控除の1つで、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円(※)を超える場合、その超える部分の金額が医療費控除額となります。対象となる医療費は納税者本人分のみだけではなく、生計を共にしている配偶者や親族のために支払った医療費も含めることができるので注意しましょう。
※その年の総所得金額等が200万円未満の人については「総所得金額等×5%」
冒頭にも記載しましたが、医療費控除は年末調整で受けられません。年末調整後に自身で確定申告する必要があります。
年末調整のとき会社に伝えなければならない?
結論としては、医療費控除を受ける旨を会社に伝える必要はありません。年末調整と確定申告はいずれも所得税や住民税にかかわる手続きであり、会社員の場合は会社に把握されていないと処理が正しく行われないような気がしてしまいますが、完全に別の手続きです。もし会社に伝えたとしても会社側からすれば「あ、そう」というレベルの話でしょう。
年末調整後に確定申告してよい?
年末調整はその年の所得税を精算する手続きであり、年末調整が終わったということは正しい所得税が計算されたということです。ここでさらに確定申告をしてよいのかと疑問に思う人がいるかもしれませんが、確定申告をして問題ありません。むしろそれが正しい手続きの流れになります。
年末調整後に受け取る源泉徴収票には医療費控除が反映されていないので、納税者にとって正しい所得税になっていません。その源泉徴収票をもとに確定申告で医療費控除を受けてはじめて正しい所得税となります。
医療費控除のことは会社に知らされる?
医療費控除の確定申告が行われた事実が、税務署から逐一会社に知らされることはありません。確定申告と会社は関係ないからです。ただ、翌年の給与から天引きされる住民税のお知らせが会社に届いたとき、住民税課税決定通知書に医療費控除が記載されているので、会社が知るとすればそのタイミングでしょう。
もちろん悪いことをしているわけではないので、会社に知られたからといって何の問題もありません。会社も気に留めていないでしょう。
まとめ
確定申告で医療費控除を受ける旨を、年末調整時に会社に伝える必要はありません。年末調整後に源泉徴収票を受け取ったら、医療費の領収書を合わせて確定申告書を作成しましょう。
確定申告後に医療費控除を受けた旨を会社が知る機会はありますが、「なぜ伝えなかったのか」などとなる可能性は限りなく低いです。むしろ、そんなことを言う会社のほうが問題なので安心してください。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士