更新日: 2024.01.16 控除

大学生の子どもが「年収103万円」を超えてしまった! その場合の損失は「38万円」じゃないって本当? 実際の損失額について解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

大学生の子どもが「年収103万円」を超えてしまった! その場合の損失は「38万円」じゃないって本当? 実際の損失額について解説
大学生の子どもが年収103万円を超えてしまった場合、扶養から外れなければなりません。扶養控除は原則として38万円なので、親が控除されるはずであった38万円全額を損した気がしますが実は違います。
 
では実際の損失はいくらなのでしょうか。本記事で解説します。
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大学生の子どもを扶養にできるのは年収103万円まで

親が子どもを扶養に入れて扶養控除を受けようとする場合、子どもの年収は103万円以下でなければなりません。パートで働いている人が配偶者の扶養に入ろうとする場合と同じ考え方になります。
 
ただし、配偶者の場合には年収103万円を少し超えた場合の措置として「配偶者特別控除」が設けられていますが、子どもの場合にはそのような措置はありません。年収103万円を1円でも超えたら扶養から外れる点に注意しましょう。
 

大学生は「特定扶養親族」なので控除額は63万円

一般的に大学生の年代の子の扶養控除は38万円ではなく、63万円です。扶養控除の金額は原則として38万円ですが、扶養に入る人の年齢に応じて控除額が変わる仕組みとなっています。
 
扶養控除を受けようとする年の12月31日時点における年齢が19歳以上23歳未満の人は、「特定扶養親族」に該当することから控除額は63万円です。
 
大学などの高等教育機関へ進学している年齢であり、お金がかかるであろうとの配慮から控除額が大きくなっています。なお、住民税での特定扶養親族の扶養控除は45万円です。
 
扶養控除は所得控除であり、その金額がそのまま税金に影響するわけではありません。失う控除額に税率を乗じた金額が損失額となる点に注意しましょう。
 

扶養を外れた場合の損失額

それでは扶養控除63万円(所得税)と45万円(住民税)がなくなった場合、親の税金がいくら高くなるのかを計算してみます。所得税率は年収500万円から600万円程の人が該当する10%とします。
 
63万円×所得税率10%+45万円×住民税率10%(全国一律)=10万8000円
 
大学生の子どもが1人、扶養を外れた場合の損失額は約11万円という結果になりました。所得税は所得に応じて段階的に上がる累進課税率なので、年収が上がれば損失額も比例します。
 

子ども自身は勤労学生控除を受ければ年収130万円まで非課税

働きながら学生をしている人には、勤労学生控除が設けられています。控除額は27万円なので、適用を受けられる場合には年収130万円まで非課税となります。適用対象者は以下の要件すべてに該当する人です。


・給与所得などの勤労による所得があること
・年収130万円以下で、勤労による所得以外の所得が10万円以下であること
・特定の学校の学生、生徒であること(学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など)

要件を見ると、高等教育機関に通っている人のほとんどが該当すると考えられます。
 

社会保険の扶養は年収130万円未満

「扶養」には税金と社会保険の2種類があります。本記事でここまで解説したのは税金の扶養についてですが、最後に社会保険の扶養についても触れておきます。
 
社会保険の扶養に入れる年収は130万円未満です。つまり、子どもの年収が103万円を超えたとしても、年収129万9999円までであれば社会保険の扶養には入れます。
 

まとめ

大学生の子ども1人を扶養から外した場合に増える税金は、所得税率10%の人の場合で約11万円です。
 
大学生の扶養控除額は他の人より多く設定されているため、扶養から外れた場合の損失額が大きくなりがちです。親側で増える税金をカバーするほど稼げないのであれば、バイトの年収には十分気を付けたほうがよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
東京都主税局 個人住民税
国税庁 No.1175 勤労学生控除
全国健康保険協会 被扶養者とは?
 
※2024/1/16 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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