更新日: 2024.01.12 確定申告

医療費総額「10万円」超えなのに確定申告しないとどうなる? 損失額を総額「11万円~100万円」のケースで試算

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

医療費総額「10万円」超えなのに確定申告しないとどうなる? 損失額を総額「11万円~100万円」のケースで試算
「医療費が10万円を超えた年は医療費控除を受けられる」ということは多くの人が知っているでしょう。ただ、確定申告が必須となる点が面倒ですよね。年末調整ですでに所得税の精算が済んでいる会社員であれば、医療費控除のためだけに確定申告となるのでなおさらでしょう。
 
本記事では、医療費控除が受けられることは知っていながらも確定申告しなかった場合の損失額について、医療費総額別に解説していきます。確定申告するか否かを判断する検討材料になれば幸いです。
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医療費控除とは

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費で所得控除が受けられる制度です。医療費は納税者本人分だけでなく、生計を共にしている家族の分も含めることができます。医療費控除の対象となる金額は以下の算式で計算します。
 
・(支払った医療費総額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
 
「医療費が10万円を超えた年は医療費控除を受けられる」と言われる「10万円」の理由は、算式に「-10万円」とあるからです。医療費総額が最低10万円以上なければ、この算式で残額が出ないのですね。
 
なお、すべての人が10万円ではない点に注意しましょう。その年の総所得金額等が200万円未満の人については、10万円に代わって総所得金額等の5%の金額となります。
 

医療費総額別の損失額

医療費控除は、基本的に医療費総額が大きいほど節税効果も大きくなります。それでは、医療費総額別に節税額を計算してみましょう。共通条件として、所得税率10%(年収500万円から600万円程度)、住民税率10%(全国一律)、保険金などで補てんされる金額はないものとします。
 

医療費総額:11万円

下限の10万円を少し超えた医療費総額です。この場合の医療費控除額は11万円-10万円=1万円となり、節税額は1万円×(10%+10%)=2000円となります。このくらいであれば、「確定申告が面倒だからもういいか……」となっても、後から「もったいなかった!」と後悔する可能性は低そうですね。
 

医療費総額:20万円

家族の人数次第ではありますが、医療費総額20万円というと、「今年は結構病院に行ったな」という感覚になりそうな金額ではないでしょうか。
 
この場合の医療費控除額は20万円-10万円=10万円となり、節税額は10万円×(10%+10%)=2万円となります。税金を2万円多く支払うと考えたらどうでしょうか?「面倒だけど確定申告しよう」となる人が多そうですね。
 

医療費総額:50万円

医療費総額が50万円にもなると、入院など大きな医療費がかかった年でしょう。出産があった年でも考えられる金額です。
 
この場合の医療費控除額は50万円-10万円=40万円となり、節税額は40万円×(10%+10%)=8万円です。お金もたくさん出たかと思いますので、確定申告で少しでも取り戻したいですね。
 

医療費総額:100万円

長期入院があると、100万円程度の医療費はかかっても不思議ではありません。納税者本人でなくても、家族の誰かが入院した場合も該当します。この場合の医療費控除額は100万円-10万円=90万円となり、節税額は90万円×(10%+10%)=18万円です。
 

確定申告を忘れても5年は大丈夫

「忙しくて確定申告を忘れていた」「覚えていたけど確定申告する時間がなかった」という場合もあるでしょう。大丈夫です。還付を受けるための確定申告であれば、該当年の翌年1月1日から5年間提出できます。確定申告期限として有名な3月15日は関係ないので注意してください。
 

まとめ

医療費控除のための確定申告は面倒ではありますが、医療費総額や所得税率によっては損失額が大きくなるので、まずは確定申告をしたらいくら還付されるのかを簡単に計算しましょう。
 
医療費総額から10万円を差し引き、所得税率と住民税率を乗じれば概算できます。還付申告は5年の猶予がある点も知っておいてください。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.2030 還付申告
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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