更新日: 2024.01.17 控除

【住宅ローン控除】年収400万円なので、控除と差し引いて所得税だけでなく「住民税」も0円になると思ってたら違った!?「限度額」はいくらなの?

【住宅ローン控除】年収400万円なので、控除と差し引いて所得税だけでなく「住民税」も0円になると思ってたら違った!?「限度額」はいくらなの?
「住宅ローン控除」についてある程度勉強した人であれば、所得税で引き切れなかった控除は住民税に移行されることを知っているでしょう。
 
本記事では、年収400万円なので住宅ローン控除の多くが住民税から差し引かれて、住民税も0円になると思っていたのに、住民税が発生したケースについて解説します。住民税をカバーできるほどの住宅ローン控除があったのに、住民税が0円にならなかったのはなぜなのでしょうか。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

住宅ローン控除と住民税の関係

住宅ローン控除とは税額控除の1つで、住宅ローンを利用してマイホームを購入した人が適用を受けられる制度です。控除額は原則として住宅ローンの年末残高の0.7%となっており、マイホームを購入した年によっては1%の人もいます。
 
例えば、住宅ローンの年末残高が4000万円の場合、4000万円×0.7%=28万円が所得税から差し引かれます。年収400万円であれば年間の所得税は8万円程度になるので、住宅ローン控除があれば所得税は0円となります。
 
しかし、せっかく住宅ローン控除が28万円あっても、年収400万円の場合には8万円しか差し引けないので、残り20万円については使い道がなくもったいないですね。そこで国は、この20万円部分について住民税から差し引けるようにしています。年収400万円の住民税は18万円程なので、単純に考えると18万円-20万円で所得税と同様に0円になるはずです。
 

住民税が0円にならなかった理由

住民税を超えるほどの住宅ローン控除があったにもかかわらず、住民税が0円にならなかった理由は、住民税から差し引ける住宅ローン控除には限度額が設けられているからです。住民税から差し引ける住宅ローン控除は、以下のいずれか小さい金額と定められています。

●所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除の金額
●所得税の課税総所得金額等の額×5%(上限9万7500円)

今回のケースでは、後者の条件が関わってきます。年収400万円の場合、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除の金額が20万円あったとしても、課税所得は170万円ほどなので、約170万円×5%=約8万5000円となり、住民税から差し引ける住宅ローン控除は8万5000円となります。これが、住民税が0円にならなかった理由です。
 
つまり住宅ローン控除28万円のうち、利用できたのは所得税で約8万円、住民税で約8万5000円の合計約16万5000円で、残り約11万5000円については諦めるしかありません。ちなみに、残った分を翌年に繰り越せる仕組みはありません。
 
なお、住民税からの上限額は9万7500円のため、所得税から引ききれなかった分が9万7500円を超えていれば、どちらにせよ住宅ローン控除をフル活用することはできなかったということになります。
 

まとめ

「年収400万円なので所得税だけでなく住民税も0円になると思っていたら違った理由」は、住民税から差し引ける住宅ローン控除には限度額が設けられているからです。年収400万円の限度額は約8万5000円になりますが、どんなに年収が大きくても9万7500円を超えることはありません。住民税から差し引かれる住宅ローン控除の限度額は9万7500円(10万円くらい)と覚えておくとよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
東京都主税局 個人住民税
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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