会社に「年収103万円以下」とお願いしているのに「所得税」と「住民税」が引かれてる! これって計算ミス? 指摘すれば戻ってくるの?

配信日: 2024.01.18

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会社に「年収103万円以下」とお願いしているのに「所得税」と「住民税」が引かれてる! これって計算ミス? 指摘すれば戻ってくるの?
パートで働く人の中には、年収を103万円以下におさえている人は多いのではないでしょうか。扶養の恩恵を受けつつ、家事や育児、介護の時間を確保しながらでも家計の助けになるからです。
 
ただ、「年収103万円以下であれば税金も社会保険も関係ないので、全額が手取りになる」と思っている人もいるのではないでしょうか。会社に年収103万円を超えないように働きたい旨を伝えているにもかかわらず天引きがあった場合には、「間違ってる!」と憤るかもしれませんが、文句を言うのは待ってください。実は間違っていない可能性が高いからです。
 
本記事では、年収103万円以下で所得税と住民税が天引きされるケースについて解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

年収103万円は「ほぼ」全額が手取り

年収103万円というのは、所得税の計算における給与所得控除55万円と基礎控除48万円の合計です。給与所得控除については、年収に応じて段階的に変動する仕組みとなっていますが、年収162万5000円までは一律55万円です。つまり、最低でも年収103万円までは所得税がかからないということになります。
 
また、社会保険の扶養は年収130万円未満であることから、年収103万円であれば配偶者の扶養に入れるので、自身で社会保険料を納める必要はありません。
 
ただし、年収103万円では住民税はかかるので注意しましょう。東京都23区の場合、住民税が非課税になるのは、「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」で所得金額が45万円以下となっています。給与のみで働いている人の場合、給与所得控除55万円と合わせて年収100万円以下でなければなりません。
 
年収103万円で他に所得控除がない場合、均等割5000円と所得割3万円×10%=3000円との合計8000円(年額)の住民税が発生し、翌年の給与から毎月天引きされます。住民税は前年分が天引きされる仕組みとなっているので、入社時にはかからない分、余計に混乱してしまいがちなので注意しましょう。
 
なお、住民税が非課税になる年収は自治体によって若干異なります。お住まいの地域の役所に確認してみましょう。
 

所得税が引かれたのはなぜ?

毎月の給与から天引きされる源泉所得税は、国税庁が定めている「給与所得の源泉徴収税額表」に、その月の給与の金額を当てはめて計算されています。扶養親族等の数が0人の場合、給与が8万8000円未満であれば源泉所得税は0円ですが、8万8000円以上8万9000円未満になると130円発生し、その後も段階的に増えていきます。
 
つまり、毎月の給与が年収103万円を12分割した8万5000円程度であれば源泉所得税は発生しませんが、月々で変化する給与の場合には8万8000円以上となることで源泉所得税が発生します。
 

所得税は年末調整で全額還付される

年収103万円以下には所得税はかかりません。よって、給与の変動によって源泉所得税が発生した月があったとしても、年末調整で全額還付されるので安心してください。所得税は、その年の所得税を源泉所得税として前払いした後、年末調整で精算する仕組みとなっているからです。
 

まとめ

年収103万円には所得税と社会保険料はかかりませんが、住民税はかかります。翌年の給与から毎月数百円程度の住民税が天引きされるので、全額が手取りにはなりません。会社が間違っているわけではないので注意しましょう。
 
源泉所得税については、給与の金額次第で発生する月があるかもしれませんが、年末調整時点での年収が103万円以下であるなら、全額還付されます。
 

出典

国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
東京都主税局 個人住民税
国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)
国税庁 家族と税
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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