更新日: 2024.01.22 その他税金

中古住宅の購入を検討中です。「買取再販住宅」はコスト面や税制面でメリットがあるって本当ですか?

中古住宅の購入を検討中です。「買取再販住宅」はコスト面や税制面でメリットがあるって本当ですか?
中古住宅の販売の形態には、大きく分けて「仲介(媒介)」と「買取再販」の2種類があります。
 
多くの場合、不動産業者が中古住宅の売主(個人または法人)と媒介契約を締結し、買主を募集する仲介の形態が一般的ですが、本記事では「買取再販住宅」の形態とさまざまなメリットについて確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

買取再販住宅とは?

「買取再販住宅」とは、宅地建物取引業者が特定増改築等をした中古住宅を、その業者の取得日から2年以内に取得した場合の中古住宅(取得の時点において、その中古住宅が新築された日から起算して10年を経過したものに限定)のことをいいます。
 
つまり、個人または法人から中古住宅を業者が買い取り、リフォーム・リノベーションを施してから販売する住宅を指します。各設備の更新や内外装のリフォーム工事を実施したうえで販売するため、購入時には新築住宅さながらのスペックを備えていながらも、比較的安価に購入できる点がコスト面での魅力となっています。
 
さらに、一定の要件(特定増改築等)を満たす買取再販住宅については、取得に係る国の特例措置が設けられており、税制面でのメリットがあります。
 
なお、特例措置を適用するためには、増改築工事証明書などの提出が必要となります。要件や手続きの詳細は、国税庁、国土交通省のホームページなどでご確認ください。
 

買取再販住宅のメリット

買取再販住宅のメリットについて、以下で説明していきます。
 

メリット1 登録免許税の軽減

一定の要件を満たす買取再販住宅を取得した場合、所有権移転登記に係る登録免許税の税率を0.1%に軽減する特例措置が適用できます。適用期限は、現状では令和6年3月31日までとなります。
 
ちなみに住宅については、通常2%とされる所有権移転登記の登録免許税が0.3%に軽減される特例措置(一般住宅特例)がありますが、買取再販住宅ではこれよりもさらに軽減された税率を適用することができます。
 

メリット2 不動産取得税の軽減

要件を満たす中古住宅を業者が取得し、住宅性能の一定の向上を図るための改修工事を行った後、業者が取得してから2年以内に個人に住宅を譲渡して居住の用に供される場合、業者が住宅を取得した際の不動産取得税が減額されます。
 
こちらは業者に対する特例措置で、中古住宅の流通のなかでのメリットの一つです。適用されるのは令和7年3月31日までの取得となり、当初の税額からの軽減額は、中古住宅が新築された時期に応じて図表1のとおりです。
 
図表1

●新築時期と軽減額


※東京都主税局 「買取再販に係る不動産取得税の軽減について」より筆者作成
 
また、住宅の敷地についても一定の要件を満たすことで取得した土地の税額から、4万5000円、または土地1平方メートル当たりの価格×住宅の床面積の2倍(1戸につき200平方メートルまで)×3%のいずれか多いほうが減額されます(「土地1平方メートル当たりの価格」は、価額の2分の1に相当する額から計算)。
 

メリット3 住宅ローン控除の借入限度額、控除期間

一定の要件を満たす買取再販住宅では、住宅ローン控除の借入限度額、控除期間について新築住宅と同じ内容の適用となり、一般の中古住宅よりも優遇されます。
 
具体的には、一般の中古住宅での借入限度額は2000万円、控除期間が10年間であることに対して、買取再販住宅の場合、基本的には新築住宅と同じ借入限度額と13年間の控除期間が適用できます。
 
ただし、買取再販住宅でも省エネ基準を満たした認定住宅等と一般の買取再販住宅では、住宅の区分と居住開始年により借入限度額、控除期間が異なります。
 

メリット4 仲介手数料が不要

買取再販住宅は売主である業者から直接購入するので、原則として仲介手数料がかかりません。
 
売買価格が400万円を超える中古住宅を仲介で購入した場合、購入価格の3%+6万円+消費税を上限とする仲介手数料を負担する必要があります。例えば、4000万円の物件の仲介手数料は、138万6000円が上限となります。
 

メリット5 リフォームなどの費用がかからない

買取再販住宅は、購入した時点で業者によるリフォーム、リノベーション、設備更新などが実施されており、新たにリフォームなどにかける費用や手間が不要となります。購入後、すぐ快適に住み始められるという点は大きなメリットといえるでしょう。
 

メリット6 契約不適合責任

買取再販住宅は業者が売主となるため、住宅の品質や設備の数量などに関して契約内容に適合しない箇所があった場合、売主が買主に対して負うことになる契約不適合責任が適用されます。
 

まとめ

本記事では、買取再販住宅のメリットに着目してきましたが、当然ながらデメリットもあります。
 
例えば、業者が事故物件など問題のある中古住宅を安価に仕入れ、リフォームを施したうえで販売するケースや、見た目には素人では判断できない杜撰(ずさん)なリフォーム工事が行われているケースなどもあるようです。
 
買取再販住宅は一般の中古住宅に比べてコスト面のほか、税制面で優遇されるメリットがあるため、非常に魅力的と感じることも多いでしょう。ただし、前述のような潜在的なデメリットもあるので、購入を検討する際には業者としっかり話し合ってから判断することをお勧めします。
 

出典

国税庁 確定申告書等作成コーナー 買取再販住宅とは 買取再販住宅の適用要件
国土交通省 買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置
東京都主税局 買取再販に係る不動産取得税の軽減について
国税庁 No.1211-2 買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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