銀行を信用できないので、タンス預金で「1000万円」貯めています。娘に「それって違法じゃないの?」と言われたのですが、悪いことなのでしょうか…?

配信日: 2024.01.24

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銀行を信用できないので、タンス預金で「1000万円」貯めています。娘に「それって違法じゃないの?」と言われたのですが、悪いことなのでしょうか…?
自宅で現金を保管するタンス預金は、何も問題がないように思えますが、インターネット上ではタンス預金について否定的な意見を目にします。
 
「タンス預金」と検索すると関連ワードに「違法」と出てくることもありますが、タンス預金は悪いことなのでしょうか? 本記事ではタンス預金のメリットやタンス預金が悪いといわれる理由について解説します。

タンス預金とは

一般的にタンス預金とは、銀行などの金融機関ではなく自宅で現金を保管することを指します。昔はタンスの引き出しに現金を保管する家庭が多かったため、タンス預金と呼ばれるようになりました。
 
保管場所はタンスに限ったものではなく、金庫や仏壇、押し入れ、屋根裏などに現金を置いていても、自宅にあれば一般的にタンス預金と呼ばれます。
 

タンス預金のメリット

タンス預金にはさまざまなメリットがあります。
 

いつでも自由に使える

自宅に現金があれば、いつでも自由にお金を使えます。わざわざ銀行の窓口やATMに行かずにすぐに現金を用意できます。災害時や緊急時には役立つこともあるでしょう。引き出し手数料がかからないのもメリットの1つです。
 

金融機関の倒産による影響を受けない

金融機関が倒産した場合、預金保険制度により金融機関に預けた現金は1000万円までは保証されます。
 
しかし1000万円を超えた部分に関しては預金保護の対象となりません。多額のお金を預けている金融機関が倒産した場合、大きな金銭的損失が生じる可能性も考えられます。タンス預金であれば金融機関の倒産を気にすることなく、現金を保管できます。
 

口座凍結の影響を受けない

金融機関が口座名義人の死亡を把握すると、口座が凍結され、引き出しなどすべての取引ができなくなります。残された遺族にまとまったお金がない場合、葬儀代などの支払いが滞ってしまう可能性があります。タンス預金であれば口座凍結による影響を気にすることなく、遺族のために必要なお金を残せます。
 

タンス預金が悪いといわれる理由

このようにタンス預金にはメリットがあり、タンス預金をすること自体は違法ではありません。自分のお金をどこに保管するのかは個人の自由です。ではなぜタンス預金には悪いイメージがあるのでしょうか?
 
実はタンス預金は、扱い方次第では違法になるケースがあります。例えば相続税や贈与税を逃れるため、自宅に保管した現金の分を申告せず税金を減らそうとする人がいます。この場合は脱税になります。
 
逆にいえばタンス預金の分もきちんと申告して、相応の税金を納めるのであれば、タンス預金は悪いことではありません。
 
自宅に現金を保管することで「火事ですべて燃えてしまう」「泥棒に盗まれる」というようにお金を失う危険があります。
 
タンス預金により税金逃れを狙うケースや、タンス預金で大金を失うケースなどが見られるため、「タンス預金=悪いこと」というイメージが根付いているのかもしれません。
 

まとめ

タンス預金自体は悪いことではありませんが、税金の申告漏れにつながる可能性や、紛失・盗難のリスクがあります。タンス預金のデメリットを考慮すると、なるべく金融機関へ預けた方が安全といえます。金融機関の倒産が心配な場合は、上限1000万円をめどに複数の金融機関の口座に分けて資産を保管しても良いでしょう。
 
タンス預金をする場合は必要最低限の金額にとどめ、相続税や贈与税の申告はきちんと行うことを忘れないようにしましょう。
 

出典

金融庁 預金保険制度

国税庁 No.4105 相続税がかかる財産

国税庁 令和5年分確定申告書等作成コーナー よくある質問 贈与税がかかる財産

 
執筆者:山田麻耶
FP2級

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