2024年度から徴収される森林環境税とは? 1人あたりいくら徴収されるの?
配信日: 2024.01.26
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
森林環境税とは?
森林環境税とは、2024年度から徴収されることになる国税です。すでに森林環境等の保全を目的とした税が、住民税に上乗せされている地方自治体もありますが、2024年度からのこの新しい制度は地方税ではなく国税となり、日本に住所のある個人が課税対象です。
日本の国土の約7割は森林で、森林の機能には、温室効果ガスの削減といった環境保全、土砂崩れなど自然災害の防止、水資源の貯蓄や浄化があるとされています(※1)。しかし、高齢化や採算性の低下によって林業の担い手は減少(※2)し、また、所有者や境界が不明な森林も多く存在し、その手入れも不足しつつあるのが現状です。
森林環境税は、パリ協定の枠組みの下での温室効果ガスの削減、国土の保全、水源の涵養(かんよう)、森林の整備、木材の利用促進などを目的とし、その財源を確保するために徴収される税です。
国の森林環境税による税収の全額を、森林環境譲与税として国から都道府県・市区町村へと配分・譲与され、各地方自治体で活用されることとなっています(森林環境譲与税は2019年から前倒しで開始)。
※1 林野庁ホームページより
※2 総務省「国勢調査」によると、1980年に14万6000人だった林業従事者数は2020年に4万4000人へ減少
森林環境税の額と徴収方法
森林環境税は国税ではありますが、市区町村によって賦課徴収されます。住民税の均等割とともに徴収され、その額は1人あたり年間1000円です。
住民税は、前年の所得を基準に当年6月からの1年間の納税額が決まります。2023年の所得を基準として、2024年6月からの住民税が賦課徴収される際、森林環境税も加わることになります。ただし、2024年度からの住民税と森林環境税の納税合計額で見た場合、2023年度までと比べ変化はありません。
住民税は市町村民税と道府県民税(※3)に分かれ、その均等割については、2014度からの2023年度までの10年間、東日本大震災の復興特別税・年額1000円(市町村民税500円、道府県民税500円)が上乗せされていました。
しかし、森林環境税が導入される一方で、この10年間の臨時措置は終了するため、納税合計額では同じとなります(【図表1】)。
※3 東京都の場合は、市町村民税あるいは特別区民税と都民税
森林環境税の確認を
森林環境税は、生活保護による生活扶助を受けている人、未成年者・一定の障害がある人・寡婦・ひとり親で合計所得金額が135万円以下の人には課税されません。その他、扶養親族のない人、扶養親族のある人それぞれで合計所得金額が一定以下の人も非課税です(【図表2】)。
森林環境税の徴収の開始が近づいてきています。2024年度になって住民税のお知らせが来た際、森林環境税が課税されること、税金の内訳が前年度と変わったことについても確認してみましょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー