更新日: 2024.02.13 その他税金

「タワマン節税」ルール改正でどのくらい「お金持ち節税」が難しくなる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「タワマン節税」ルール改正でどのくらい「お金持ち節税」が難しくなる?
近年、富裕層を中心に節税目的でタワーマンションを購入する事例が増加し続けています。これが問題視されたことから、2024年1月より税制が改正され、節税効果が少なくなるように調整されました。
 
ルールが改正されたことにより、タワーマンションを保有している方や今後保有したいと考えている方のなかには、「タワーマンションの価値が下がるのではないか」と心配する方もいるでしょう。そこで本記事では、タワマン節税の概要や税制の改正が節税にどのような影響を与えるのかを解説します。
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タワマン節税とは何か

タワマン節税とは、相続税の節税を目的にタワーマンションの上層階を購入することです。資産家が子どもや配偶者に資産を相続させる場合、現金だと高額な相続税がかかります。しかし、現金を不動産に替えておけば相続税評価額が下がるため、結果的に節税につながる仕組みです。
 
特に、タワーマンションは戸数が多いので1戸あたりの土地の持ち分が小さくなり、かつ高層階ほど市場における実勢価格と相続税評価額の差が大きいという特徴がありました。したがって、相続税目的での購入が多かったのです。
 
タワーマンションの一室を相続させた後で売却すれば、時期や建物によっては買ったときよりも高く売れる可能性があります。しかし、この方法は富裕層ほど有利になるため、不公平感が強いという声がありました。
 

タワマン節税のルール改正の影響は?

2024年1月より、財産評価基本通達の改正が行われています。改正後の相続税は「現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離(かいり)率×最低評価水準0.6」の計算式で算出されるため、2023年12月までに相続した場合と比べて、相続税が高くなる可能性があります。
 
本項では、財産評価基本通達の改正が行われたことにより、どのような影響が出るかを解説します。
 

評価補正を行うことで相続税が高くなる可能性がある

財産評価基本通達の改正により、タワーマンションの一室を相続した場合の実勢価格と相続税評価額の差が縮まります。従来の相続税評価額は、築年数が浅く階数が高く、土地と部屋の専有面積に差があるほど実勢価格との乖離が大きくなっていました。つまり、タワーマンションの高層階を購入したうえで相続させれば、現金で資産を相続させるより相続税を大幅におさえられたのです。
 
しかし、改正後は乖離の幅が小さくなり、相続税が高くなる可能性が出てきました。どれくらい相続税が高くなるかは、マンションの立地や部屋の広さなどによって変わります。より詳しく知りたい方は、税理士に相談してみましょう。
 

タワマンの価格が落ち着くことが予想される

財産評価基本通達の改正により、相続税を節税するためにタワーマンションを購入するメリットが少なくなりました。
 
東京を中心に、首都圏のタワーマンションの価格は上昇傾向にあります。これは、純粋にタワーマンションに居住したい方にとって決してよい傾向ではありませんでした。タワマン節税の効果が減少した結果、タワーマンションの価格が落ち着けば、高層階も購入しやすくなる可能性があります。
 

タワマンの価値が下がるわけではない

財産評価基本通達の改正によって影響が出るのは相続税の額で、タワーマンションの価値そのものに影響が出るわけではありません。また、タワーマンションの価値は築年数や立地条件のほか、需要によっても変化します。
 
タワーマンションの購入者のうち節税のために購入する方は少ないため、財産評価基本通達の改正によってタワマンの価値が急激に下がる可能性は低いでしょう。
      

ルール改正によりタワマン購入による節税効果は薄くなる

2024年1月から始まった財産評価基本通達の改正により、現金をタワーマンション高層階の一室に変えて相続させても、以前よりも節税効果が少なくなりました。
 
しかし、節税効果が全くなくなったわけではありません。部屋の広さや立地条件、需要によっては、現金を相続するよりも節税効果があるケースもあります。また、節税目的での購入者が減ったことにより、2024年よりタワーマンションの価格が落ち着いて居住目的の方に取ってはメリットが出る可能性もあります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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