更新日: 2024.02.09 確定申告
年末調整で住宅ローン控除の申告を忘れてしまいました。「自分で確定申告するように」と言われたのですが、どうすればいいですか?
年末調整では住宅ローン控除のほか生命保険料控除や扶養控除などのさまざまな控除を受けることができますが、控除を受けるには年末調整の期間内に必要書類をそろえるなどの所定の手続きが必要になります。
もし、年末調整で住宅ローン控除を受けることができなかった場合、ご自身で確定申告を行う必要があります。今回は給与収入が主な収入源の方が確定申告で住宅ローン控除を受ける場合の手順と注意点について解説していきます。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
確定申告のための必要書類を準備しよう
住宅ローン控除は最大で40万円程度(住宅の種類・性能等で異なる。)の還付を受けることができます。控除額は住宅の性能や借入残高などによって変化しますが、その金額は決して小さいものではありません。
図表1
居住の用に供した年 | 控除期間 | 各年の控除額の計算 (控除限度額) |
---|---|---|
平成26年1月1日から 令和元年9月30日まで |
10年 | 1~10年目 年末残高等×1% (40万円) (注※住宅の取得等が 特定取得以外の場合は20万円 |
年末調整で住宅ローン控除を受けることができなかったとしても、難しそうだからといって申請を諦めてしまうのはもったいないです。確定申告の受付期間は原則2月16日~3月15日となります。事前に必要書類をそろえておき、速やかに確定申告を行えるようにしておきましょう。
住宅ローン控除は、初回申請時は確定申告が必要で、確定申告書の他に土地家屋の登記事項証明書や工事請負契約または売買契約書などを添付する必要があります。
しかし、2年目以降は事前に税務署から送付されている「給与所得者(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申請書」と住宅ローンを利用している金融機関から発行される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」で申請が行えます。この他、確定申告書を円滑に作成するために勤め先の源泉徴収票を準備しておくとよいでしょう。
確定申告書の作成と所得控除の注意点
必要書類をそろえた後は確定申告書の作成を行います。確定申告書にはAとBの2種類がありますが、基本的に給与収入以外の所得がない場合は、記入事項の少ない「確定申告書A」を利用しましょう。
確定申告書Aに、源泉徴収票を元に給与収入の額と給与収入の額から給与所得控除を差し引いた給与所得の額を記入し、社会保険料控除・生命保険、地震保険料控除、配偶者控除などの所得控除の申請を行います。
この際、注意したいのが所得控除の記入漏れです。年末調整ですでに適用を受けていると2重に控除を受けてしまうのではないかと疑問に感じるかもしれません。
所得控除は年末調整で適用を受けている場合でも確定申告時には改めて申請が必要です。記入が漏れてしまうと正しい所得税額が計算できなくなってしまうので忘れずに適用を受けるようにしましょう。
住宅ローン控除の申請は、確定申告書の税金の計算の部の「住宅耐震改修特別控除等」の欄にその旨を記載しますが、その額は「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書」の住宅借入金等特別控除額の金額になります。
確定申告書の提出方法は? 期間を過ぎてしまった場合はどうなるの?
住宅ローン控除の年末調整での適用が行えなかった場合は、「給与所得者(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申請書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の2つの必要書類をそろえて確定申告書を添え、原則2月16日~3月15日の間に管轄の税務署で確定申告を行います。
確定申告の申請方法は窓口・郵送のほかe-Taxによるオンライン申請も選択できます。しかし、オンライン申請の場合はマイナンバーカードやマイナンバーカードを読み込むためのカードリーダーが必要であるなど、設備投資が必要になります。税金関係を年末調整で完了しているのであれば、負担の少ない郵送などで提出してしまうと良いでしょう。
また、仮に住宅ローン控除の適用を受けないまま、確定申告期間を過ぎてしまった場合でも5年以内であれば還付申告を行うことで控除の適用が受けられます。もし、確定申告を期間内に行えない場合や過去に適用漏れがある場合は還付申告の利用の検討をおすすめします。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表