更新日: 2024.03.23 ふるさと納税
「年金生活中の父」がふるさと納税をしようとしています。正直、やる意味はありますか?
そこで、単身の年金生活者の方がするふるさと納税について考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
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ふるさと納税の概要
まずは、ふるさと納税の概要について確認しておきましょう。ふるさと納税とは、任意の自治体に寄附をした総額のうち2000円を差し引いた部分が所得税や住民税から差し引かれる、という制度です。加えて、寄附金額に応じた返礼品を受け取ることができます。
メディアなどでは節税策の一つとして紹介されることが多くなっています。
年金受給者においてもふるさと納税は適用される
年金についても税金が発生することは知っているでしょうか。具体的には、単身者であれば、65歳未満の場合108万円、65歳以上の場合で158万円以上の年金収入があれば、所得税や住民税が発生します。
ふるさと納税をすると、年金について発生する所得税や住民税も控除されます。そのため、所得税や住民税が発生するほど年金をもらっている場合は、年金生活者であってもふるさと納税をすれば、税制優遇による恩恵を受けられ、返礼品を受け取ることができます。
その点については、年金生活者であろうが、会社員であろうが、または自営業者であろうが、違いはありません。
ふるさと納税の恩恵を受けられる年金生活者はそう多くはない
年金生活者であってもふるさと納税の恩恵を受けられるとはいえ、実際にその恩恵にあずかれるのはごくわずかだと考えられます。
そもそも、厚生年金の受給者における平均年金月額は、令和4年度末現在で、およそ14万5000円です(老齢基礎年金を含む)。年収換算では174万円です。誰でもふるさと納税の恩恵を受けられるほど年金を受け取っているわけではあません。
特に、老齢年金のうち国民年金の平均受給月額は、令和4年度末現在でおよそ5万6000円となっています。年換算しても70万円未満と、そもそも税金が発生しない額であるため、ふるさと納税をしても税制上の恩恵を受けることができません。
例えば「税金が発生しないにもかかわらずふるさと納税を実施した」、あるいは「税金が発生してもその額以上にふるさと納税を実施した」という状況では、ふるさと納税の影響を最大限受けることができず、損をしてしまいます。
もちろん返礼品は控除の恩恵を受けられるかどうかに関係なく受け取れるため、100%の金額分損をするわけではありません。しかし、ふるさと納税の返礼品の上限額には、諸経費含めて3割というルールが敷かれています。
仮に税金が発生していない年金生活者が、1万円分のふるさと納税を実施してしまうと、7000円以上損をする可能性があります。
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まとめ
ふるさと納税は年金生活者であっても、実施することによって、税額控除と返礼品の受け取りという恩恵を受けることができます。しかし、税金が発生しない場合、あるいは税金の額以上にふるさと納税を実施してしまう場合は、損をしてしまう可能性があります。
年金は通常の収入に比べて控除の額が大きく、税金が発生するほどもらえる方は、そう多くありません。年金生活者の方がふるさと納税を実施するのであれば、この点を踏まえ、何円までならふるさと納税を実施してもよいのか、確認した上で行うべきでしょう。
出典
総務省 ふるさと納税のしくみ
執筆者:柘植輝
行政書士