更新日: 2024.04.17 その他税金
【2024年6月開始】定額減税で手取りが「16万円」も多くなってラッキー! でも住宅ローン控除がある人は、還付金が「12万円」減るってどういうこと!? 気になる“真相”を解説
閣議決定され、新制度として発表された2023年12月にはニュースなどで話題になりましたが、少し期間の空いた今では忘れてしまった人もいるでしょう。
とりあえず知っておいてほしいのは、2024年6月から給与の手取り額が家族1人当たり4万円増えることです! 定額減税は国民にとってうれしいニュースのはずですが、「住宅ローン控除がある人は、定額減税が十分に受けられない」という噂があるのが気になります。この真相について、本記事で詳しく解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
定額減税って何?
定額減税とは、毎月給与から天引きされている税金から4万円(所得税3万円・住民税1万円)を差し引き、個人の税負担を軽減する制度です。つまり、給与の手取りが4万円増えるということです。ただし、年収2000万円超の人は対象外なので注意しましょう。
さらに定額減税として差し引ける金額は、本人分4万円だけではなく扶養家族分も1人当たり4万円となっています。例えば、夫、妻(扶養内パート)、長子(17歳)、次子(13歳)の家族構成の場合、夫の定額減税は4万円×4人=16万円となります。
定額減税の仕組み
定額減税の処理は会社が進めるので、基本的に社員が行うことはありません。2024年6月に支払われる給与または賞与は、本来の源泉所得税から3万円が差し引かれた金額で振り込まれます。源泉所得税のほうが少ないために差し引けない金額が残った場合には、次月に繰り越される仕組みです。
住民税は所得税と異なり、役所が計算して税額を会社に通知し、会社は通知に基づいて社員の給与から天引きを行う(特別徴収)仕組みです。定額減税についても、役所が計算した時点で1万円が差し引かれるため、6月の給与からは特別徴収(給与天引)されないケースもあります。
「定額減税分だけ住宅ローン控除の還付が減る!?」と心配されている理由
定額減税が打ち出されたとき、「住宅ローン控除がある人には得がない」と話題になりました。なぜ得がないのかというと、年末調整時の住宅ローン控除によって受けられる還付金は、源泉所得税の返金と同義だからです。例えば、定額減税のない年であれば、年間20万円の源泉所得税に対して住宅ローン控除が25万円あれば、20万円の還付金となります。
しかし、定額減税によって源泉所得税が少なくなる2024年の場合、年間20万円あった源泉所得税は、今回のケースだと定額減税が12万円(所得税分3万円×4人)になるので、差し引いて8万円になります。所得税額以上の金額が還付されることはないため、住宅ローン控除が25万円あったとしても、還付金は8万円となるのです。
住宅ローン控除で定額減税しきれない人へは差額を給付
そこで、政府は救済措置を設けました。住宅ローン控除があることで定額減税の恩恵を受けきれなかった金額については、「調整給付」という形で支給することにしたのです。
具体的な方法として、年末調整時において住宅ローン控除後の金額から定額減税分を差し引きます。そうすれば住宅ローン控除の控除枠を無駄にすることなく、さらに定額減税の恩恵も全額受けられるのです。つまり、前述の心配はなくなりました。
まとめ
定額減税の恩恵は住宅ローン控除がある人には「小さい」、もしくは「ない」と噂されてきましたが、調整給付によりその心配はなくなりました。住宅ローン控除があることで、定額減税の恩恵を受けきれない人に対しては、受けきれなかった分の金額が給付されますので安心してください。
出典
国税庁 定額減税 特設サイト
足立区 令和6年度の個人住民税の定額減税について
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士