更新日: 2024.04.21 控除
節税効果が高い! フリーランスが入れる小規模企業共済は掛金全額が所得控除になる!
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済に加入している個人事業主等の一部の人しか活用できませんでしたが、iDeCo(確定拠出年金法に規定する個人型年金)の登場により、iDeCoを活用して所得控除を受ける人が増えました。
この所得控除を利用して、節税しながら老後の資産形成に役立ててみてください。
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。
人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。
小規模企業共済等掛金控除とは
納税者が、小規模企業共済法に規定された共済契約等に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額全額について所得控除が受けられます。これを、「小規模企業共済等掛金控除」といいます。
<小規模企業共済とは>
小規模企業共済の加入資格があるのは、基本的に個人事業主、フリーランス、小規模会社(従業員20名以下)の経営者や役員、常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員です。
※宿泊業・娯楽業を除くサービス業・商業の場合は、常時使用する従業員は5名以下ですので注意してください。
<小規模企業共済を利用するメリット>
・掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、課税対象額の圧縮になります。最大で、1年につき月7万円×12ヶ月=84万円の所得控除を受けられます。
・共済金や準共済金(法人化した法人が小規模事業者でない場合は、準共済金となります)の受取時も、税制優遇があります。共済金や準共済金を一括で受け取る場合は、退職所得扱いとなります。
・低金利の貸付制度を利用できます。掛金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲で、低金利の貸付制度があります。
・共済金等の受給権は、差し押さえが禁止されています。
・何歳からでも加入できます。60歳を超えて開業した方でも加入できるのは魅力です。
<小規模企業共済を利用する際の注意点>
・早期に解約すると、受取額が下がります。
掛金納付月数が240ヶ月未満で任意解約をした場合、共済金は掛金合計額を下回ってしまいます。また、共済金A・Bは掛金納付日数が6ヶ月未満の場合、準共済金・解約手当金は掛金納付日数が12ヶ月未満の場合は、共済金を受け取ることができません。
小規模企業共済等掛金控除の対象になるのは?
控除できる掛金は、次の3つです。
(1)小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
(ただし、旧第二種共済契約の掛金はこの控除ではなく生命保険料控除の対象となります)
(2)確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金(iDeCo)
iDeCoとは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。 公的年金と異なり、加入は任意で、加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用のすべてをご自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。
iDeCo加入の方には、「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の名称は違和感があると思いますが、保険料が全額控除されるメリットに免じて我慢しましょう。金融関係の試験を受けられる方は、覚えにくいのでしっかり覚えてください。
(3)地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
(この共済制度と地方公共団体の条例で精神または体に障害がある者を扶養する者を加入者として、その加入者が地方公共団体に掛金を納付し、当該地方公共団体が心身障害者の扶養のための給付金を定期に支給することを定めている制度のうち一定の要件を備えているものをいいます)
申告方法
この控除を受ける場合は、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入するほか、支払った掛金の証明書または、電磁的記録印刷書面(電子証明書等に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元バーコードが付された出力書面をいいます)を確定申告書に添付または提示する必要があります。
ただし、年末調整で控除された場合はその必要はありません。なお、給与所得者は、「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して給与の支払者に提出するか同申告書を提出する際に提示してください。
申告先は、確定申告の場合は所轄税務署、年末調整の場合は勤務先です。
まとめ
給与所得の方は「小規模企業共済」はあまりなじみがないと思いますが、事業所得の方には退職金代わりとなる大事な積立制度です。事業所得の方でまだ加入していない方は検討してみてはいかがでしょうか。iDeCoとは違い、リスクの少ない積立制度です。
出典
国税庁 No.1135 小規模企業共済等掛金控除
独立行政法人中小企業基盤整備機構 共済サポートnavi 小規模企業共済に加入をご検討中の方へ
独立行政法人中小企業基盤整備機構 制度の概要
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の特徴
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント