更新日: 2019.01.10 控除
2018年上半期税制改正に伴うご相談No.1はこれ! 〜配偶者控除と健康保険の扶養!!〜
さすがに、消費税の増税ぐらいは皆さんもご承知だと思いますが、それ以外の税制については、我が身に降りかかるようになってやっと、身近に感じるようになるわけです。
しかし近年、そしてこれからの昨年の税制改正は、これまでのようによく分からないし面倒くさいからいいやとはいきません。というのも、すでに今年2018年1月から「配偶者控除の年収要件」が引き上げられたのを皮切りに、2020年には「給与所得控除」「公的年金等控除」「基礎控除」の所得税控除の見直しが行われるからです。
そうしたこともあり、今年2018年に入って私のところによく寄せられるご相談の圧倒的第1位は、「配偶者控除の年収要件」と「健康保険の扶養の年収要件」についてなのです。
Text:竹内誠一(たけうち せいいち)
竹内FP社労士事務所 代表
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(AFP)
国家資格キャリアコンサルタント、DCプランナー2級、企業年金管理士、スカラシップアドバイザー、生管理士
社会保険庁・日本年金機構において23年間、公務員・年金行政職に従事。退職後社労士・FP・キャリアコンサルタントとして、助成金を活用した中小企業の経営サポートや個人のキャリア形成支援・ライフプランをサポート。
http://www.stakeuchi.com/
2018年上半期のご相談第1位は「配偶者控除の年収要件」と「健康保険の扶養の年収要件」
今年2018年の上半期に寄せられたお問い合わせ・ご相談内容の圧倒的な1位が「配偶者控除の年収要件」と「健康保険の扶養の年収要件」についてです。
まず、「配偶者控除の年収要件」における「手取り収入」とは、給料から所得税と住民税、厚生年金や健康保険などの社会保険料を引いた額が実際にもらえる金額です。
2018年1月から、妻が夫の税制面での扶養に入る場合に、夫が配偶者控除を受けることができる妻の年収要件が、150万円以下に引きあげられました。それまでの年収要件は103万円以下だったため、103万円を超えないように仕事を調整する女性が多く、いわゆる「103万円の壁」といわれてきました。
では、これからは「150万円の壁」になるのかというと、手取り収入の面からみると税金の他に、「社会保険の壁」に注意する必要があります。妻が社会保険料を払わずに夫の社会保険の扶養に入ることができるのは、年収130万円未満までです。
ご相談に来られる方には、「配偶者控除の年収要件」と「健康保険の扶養の年収要件」がごちゃごちゃになられている方が多くいます。
年収が130万円以上の場合は、妻が自身の収入から社会保険料を支払うことになります。その厚生年金や健康保険の保険料といった社会保険料の支払いで減った手取り分を取り返すためには、150万円を少し上回るくらいまで収入を上げる必要があります。
「150万円の壁」の前に、この社会保険の「130万円の壁」が女性の就労を拡大するうえで、大きなハードルとなるでしょう。
大事なことだからそのままにしないで!
ここで2018年の税制改正による変更点のポイントを整理してみましょう!
1.配偶者控除の控除額が夫(主な稼ぎ手)の収入額によって減額されることになったため、夫の年収が増えることで配偶者控除できる金額が減ることがある(高所得者に増税)。
2.配偶者控除や配偶者特別控除が適用される妻の年収が最高200万円まで増額(適用された場合は減税)。
*この変更は、2018年1月1日〜2018年12月31日の所得が対象となるので、配偶者控除が適用されるご主人の2018年末に行う年末調整から適用されます。
また、2020年度の税制改正では、所得の高い人から低い人に富を再分配する機能の回復や税負担のあり方の観点から、引き続き所得税を見直し続けていくと明記され、今後給与所得控除の上限のさらなる引き下げの検討も示唆されています。
これからの税制改正には、ますます目が離せません。
いかがでしょうか。税制改正について、改正内容はまだまだたくさんありますが、身近な内容を見るだけでもかなり皆さんのご家庭にも影響を及ぼすのではないでしょうか。それ以外にも、これから先老後の生活に備え、企業年金や個人年金など貯蓄や投資なども検討し、対策していかなくてはなりません。
新聞やテレビでいろいろ報道されても難しくてよく分からない、自分で調べたりするのも面倒だし、と思われる方も多いでしょうし、実際分かりづらいですから無理もありません。ですが、間違いなく確実に皆さんの生活に直結する内容であることには間違いありません。
そのため、よく分からないし面倒だし、とそのままにされずに、よく分からず面倒な場合には、私のような独立系のファイナンシャルプランナーへぜひご相談ください。
実際、最近よく男性女性問わず、自分自身のことや配偶者の方の件で、お問い合わせやご相談をいただきます。難しくてよく分からない身近なお金のことを、分かりやすくていねいにお伝えするのが私たちファイナンシャルプランナーです。
ぜひ一度、皆さんの周囲のファイナンシャルプランナーへご相談ください。これからの税金や保険・年金についてしっかり対策していきましょう。
平成29年度税制改正
平成30年度税制改正
Text:竹内 誠一(たけうち せいいち)
竹内FP社労士事務所 代表