更新日: 2019.05.17 その他税金

サラリーマンの副業で収入は増加!? 忘れちゃいけない副業での税金のあれこれ

執筆者 : 堀江佳久

サラリーマンの副業で収入は増加!? 忘れちゃいけない副業での税金のあれこれ
政府主導の働き方改革の流れを受けて、2018年1月、厚生労働省が企業や働く人向けに副業を促進するガイドラインを公表しました。
 
サイボウズやソフトバンク、ヤフーといったIT系企業のほか、丸紅や日産自動車といった大企業でも副業が解禁されるようになりました。
 
副業には、収入が増えるというだけでなく、自分の知識やスキルを高め、将来の起業に向けた経験を積めるというメリットもあります。
 
企業側としても、多様な働き方を求める優秀な人材の確保という視点で、今後も副業を解禁する企業は増え、副業を行うサラリーマンは増加するものと思われます。
 
今回は、サラリーマンが副業を行った場合の税金について紹介してみたいと思います。
 
堀江佳久

Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

副業の内容によって納税方法が変わる

■別の企業でのアルバイト
 
本業とは別の企業でアルバイト。
 
例えば、会社が終わってから飲食店のアルバイトや、土日に引っ越しのスタッフとして働いたりする場合の収入は、「給与所得」となります。
 
本業以外の所得が20万円を超える場合は、確定申告をして税金を納める必要があります。給与所得は、総合課税になり、累進課税が適用されます。
 
■不動産
 
不動産所得の金額は、その年に受け取る家賃、地代、更新料、礼金などの総収入額から、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いて計算します。
 
この金額が20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。不動産取得も別の企業でのアルバイト同様、総合課税となり、累進課税が適用されます。
 
■株取引
 
株を売って得られた利益は、「譲渡所得」です。
 
株取引はせずに、配当金のみを受け取る場合は、「配当所得」となります。
 
いずれも税金は、分離課税であり、利益に対して20.315%(国税と地方税との合計)です。
 
株の取引口座には、「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」「特定口座(源泉徴収あり)」の3つがあります。
 
サラリーマンなど給与所得がある人は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すれば確定申告をする必要がありませんが、それ以外の口座では、20万円以上利益がある場合、確定申告を行う必要があります。
 
■FX(外国為替証拠金取引)
 
FXは株取引と同じようにインターネットで取引する金融商品ですので、株取引と同じと思う方がいらっしゃると思います。
 
しかし、所得区分は株取引とは異なり、「雑所得」となります。
 
また、利益は必要経費を差し引いて算出します。その利益が、20万円を超えた場合には、確定申告が必要となります。
 
なお、税率は、「別の企業でのアルバイト」や「不動産」とは異なり、申告分離課税が適用され、20.315%(国税と地方税との合計)となります。
 
また、損失を抱えた人は繰越控除が適用されます。損失を3年間持ち越して、利益と相殺する仕組みがありますので、その場合も確定申告をすれば対象となります。
 
■仮想通貨
 
個人が仮想通貨を売却、または使用することより生じた損益は、原則として雑所得に区分されます。
 
ただし、FXとは違い総合課税となり、所得税は累進課税が適用されますので、注意が必要です。
 
また、仮想通貨の取引で損失が出た場合には、雑所得以外のほかの所得(給与所得など)と損益通算することはできません。
 
しかし、同じ雑所得の「公的年金等に係る雑所得」からは差し引くことができます。
 

税金面からの副業の留意点

■配偶者控除が受けられなくなる
 
2018年から配偶者控除の仕組みが変わり、年間所得が1000万円を超える人は控除を受けられなくなりました。
 
この基準は、本業と副業を含めたすべての所得を合計したものになりますので、副業でたくさん稼いだ場合は、留意が必要です。
 
もちろん、本業だけで、基準を超える人は気にする必要はありません。
 
■社会保険料が発生する場合も
 
副業でも一定の条件を満たすと、厚生年金や健康保険の保険料を支払う必要が出てきます。
 
例えば、大企業などでは、社会保険の加入条件が「週20時間以上、年収106万円以上」などへ変わってきています。
 
したがって、これら加入条件に当てはまる場合は、社会保険料を支払わなくてはならないので、留意しましょう。
 
■申告漏れ
 
本業の勤務先では、年末調整が行われますが、これは、あくまで本業の給与所得に関するものです。
 
副業に関する所得は、金額や所得の内容に応じて確定申告を行う必要がありますので、副業の収入や経費をしっかり記録し、申告漏れが発生しないように注意しましょう。
 
Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー