更新日: 2024.06.14 その他税金

うちの会社も久しぶりに給料が上がりました。収入が増えた分、税金も増えてしまうのでしょうか?

うちの会社も久しぶりに給料が上がりました。収入が増えた分、税金も増えてしまうのでしょうか?
大企業を中心に中小企業も含め多くの会社は賃上げが行われた今年。しかし、収入が上がればその分支払う税金も増えてしまいますね。
 
そのような中、2024年の住民税の均等割の中に新しく国税である森林環境税が加わります。どのような税金でどのような使われ方をするのか、私たちの支払う税金がどのように変わるのか見て行きましょう。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

今年の賃上げの状況は?

メディア等でご存じの方も多いかと思いますが、今年は多くの企業で賃上げが実施されています。また、政府も賃上げ促進税制によって中小企業の賃上げを後押ししています。
 
賃上げ促進税制とは、中小企業などが前年度の給与等を増加させた場合に、増加額の一部を法人税から税額控除できるという制度です。
 
給与などの支給額を増やすと増加額の最大30%を税額控除でき、教育訓練費の増加で上乗せできる要件を満たした場合に控除できる税額は最大40%となり、企業にも一定のメリット感がある税制です。
 

森林環境税とは

森林環境税とは、2024年度から始まる国税で、日本国内に住所のある個人に対し課税され、およそ6000万人がその対象となる予定です。課税方法は市町村において、個人住民税均等割と併せて1人年額1000円が徴収されます。その税収の全額が、国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されます。
 
また、森林環境譲与税は、市町村による森林整備の財源として、2019年度から、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数および人口による客観的な基準で案分して譲与されています。イメージとしては図表1のようになります。
 
【図表1】


 

森林環境税によって税金が上がるの?

今回の森林環境税によって、徴収される住民税の均等割額が令和6年度以降変わります。東京23区を例にすると、表1のようになります。
 
【表1】


 
まず、特別区民税と都民税が500円ずつ減少していますが、これは平成26年度からの防災・減災事業の財源を確保するため、住民税均等割の税率の特例は令和5年度までで終了となったためです。また非課税基準は、基本的に住民税均等割と同様です。
 
森林環境税に関しては、区内に住所がなく、区内に事務所・事業所または家屋敷を所有している場合は課税されません。よって、均等割だけを考えると、昨年までと納税額は変わらないということになります。
 

どれくらい譲与されたの? そもそもどのようなことに使われるの?

これまで譲与されたのは森林環境譲与税ですが、令和4年度には都道府県へ60億円、市町村に440億円の合計500億円が譲与されました。都道府県別では北海道がもっとも多く約38億円弱です。
 
この譲渡の基準は都道府県分も市町村分も同じ基準で、50%が私有林人工林の面積、20%が林業就業者の数、30%を人口によって配分されています。また、都道府県と市町村の割合は1:9となっています。
 
そして、使途は「森林整備およびその促進に関する費用」に、また都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。割合としては、間伐材等の森林整備関係が活用額の約58%を占めており、木材利用・普及啓発が約25%、人材の育成・担い手の確保が17%となっています。
 
具体的には、花粉発生源対策となるクヌギ・コナラ植栽への支援や、森林所有者への再造林支援、林業アカデミーによる人材の育成・確保等があります。
 

国土の70%が山林です

賃上げで可処分所得が増えますが、その一部の税金の使われ方がかわる森林環境税。日本の国土の70%は山林です。
 
森林について普段考えることはあまりないかと思いますが、身近な問題ですと花粉の問題や治水の問題があるかと思います。それ以外にも森林には二酸化炭素を吸収するという機能もあります。
 
少しでも住みよい環境、持続可能な世界を作っていくうえでも、森林の環境整備についてもこの税を通じて考えていくのもよいかもしれませんね。
 

出典

総務省 森林環境税及び森林環境譲与税
林野庁 森林環境税及び森林環境譲与税
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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