更新日: 2024.06.25 控除

【扶養の境界線】子どもが小さくパートの時間をあまり増やせません。扶養内の「月8万円」から「月10万円」に少し増えた場合、手取りはどのくらい増えますか?

【扶養の境界線】子どもが小さくパートの時間をあまり増やせません。扶養内の「月8万円」から「月10万円」に少し増えた場合、手取りはどのくらい増えますか?
物価上昇が続く今、できるだけ収入を増やしたいと、働き方を見直す人も増えています。
 
とはいえ、パートで働く主婦の多くは、夫の扶養になっているため、収入によっては扶養から外れなければならなくなったり、支払うべき税金等が増えてしまったりします。
 
今回は、収入が月額8万円から月額10万円に収入が増えた場合の手取り額はどのようになるのか、考えてみましょう。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

扶養に影響する壁について知っておこう

税金に関する「〇〇の壁」はいくつかあります。その中でもパートで働く人が知っておくべき壁として「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」があります。
 
「103万円の壁」とは、夫が配偶者控除38万円を受けられる妻の年収の上限額です。この壁を超えなければ妻の所得税は非課税となりますので、働いて得た収入は丸々手元に残ります。その他にも、夫の所得税や住民税も軽減されるメリットがあるため、「103万円の壁」を意識して働いている人は少なくありません。
 
妻の年収が106万円を超えてしまうと、社会保険の加入義務が発生してしまいます。これはボーダーラインなのですが、企業の規模や雇用期間、勤務日数や勤務時間によっては社会保険の加入が必須となる場合があります。これが「106万円の壁」と言われているゆえんです。
 
「130万円の壁」とは、妻の年収が130万円を超えてしまうと、夫の扶養から外れることになり、自身で国民健康保険や勤務先の社会保険へ加入しなければならないことを言います。
 

月額8万円から月額10万円になったら、どう変わる?

月額8万円の場合、8万円×12ヶ月となり、年収は96万円です。このような働き方をしている場合、「103万円の壁」を超えていませんので、働いて得た収入から税金を引かれることがありません。つまり、「働いて得た収入=手取り額」となります。
 
一方、月額10万円の場合、10万円×12ヶ月となり、年収は120万円です。このようなケースでは、「106万円の壁」を超えてしまうため、所得税が発生するとともに、社会保険の加入が必須となる可能性が出てきます。
 
では、月収10万円で働いた場合、手取り額はいくらになるのか、確認してみましょう。


月額(月収):10万円
標準報酬月額:9万8000円(9万3000~10万1000円)
健康保険料:5674.2円(労使折半の金額、含む介護保険料)
厚生年金保険料:8967円(労使折半の金額)
▲社会保険料合計:1万4641円(端数切り捨て)
▲所得税:5000円(5%)

手取り額は8万359円になるという結果が出ました。
 
金額だけを比べると、月収が10万円のほうが手取り額は多くなります。とはいえ、その分、会社で働く時間が長くなります。359円を増やすために、何時間多く労働しなければならないのかを考えることも必要でしょう。
 

103万円の壁、ギリギリを目指す

シミュレーションの結果は、月収10万円のほうがわずかながら手取り額は多くなりました。もし、できるだけ負担を少なくして手取りを増やしたいと考えているのなら、「103万円の壁」のギリギリを目指して働いてみてはいかがでしょうか?
 
たとえば、月額8万5800円で働いた場合の年収は102万9600円です。「103万円の壁」は超えていませんので、働いて得た収入を全額手取りにできます。もちろん、時間的に余裕があるなら、フルタイムで働いて収入を増やすことも考えてみてもいいでしょう。
 
その他、夫の勤務先によっては妻の収入によって手当を支給している会社もあります。自分の手取り額だけでなく、世帯全体で手取り額を増やすためには、どのような働き方をすれば良いのかを考えることが大切です。
 

出典

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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