更新日: 2024.06.26 控除
【FPが定額減税を試算】年収400万円+400万円の共働き夫婦です。定額減税で世帯の手取りはどれくらい増えますか?
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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夫の手取りは年間で12万円増、妻の手取りは4万円増
定額減税は、2024年4月1日に施行された「令和6年度税制改正法」のなかにある制度で、納税者本人とその扶養家族1人につき、所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が2024年の税金から控除されるというものです。
夫の場合は、子ども2人の扶養家族もあわせると、1人について3万円ずつになるため3万円×3人=9万円の所得税減税、住民税は1人1万円ずつ3人分で3万円、合計で12万円の年間の手取り増となります。
一方、妻は扶養家族がいませんので、所得税3万円プラス住民税1万円であわせて4万円の手取り増です。
所得税が6月から、住民税は7月から
所得税については2024年6月の源泉所得税から、住民税は7月からの減税となります。年収400万円の内訳を、2人とも以下のように仮定します。
月収33万3000円、社会保険料5万円、所得税7000円、住民税1万5000円
まずは、夫の減税の流れを確認しましょう。
所得税減税9万円分についてです。上記の仮定の場合、所得税が毎月7000円なので、6~12月までの7ヶ月間の所得税を0円としても、7000円×7ヶ月=4万9000円となり、減税分の9万円には届きません。控除しきれなかった4万1000円は、5月までに源泉徴収された所得税額7000円×5=3万5000円とあわせて、年末調整で精算されます。
住民税は、個人住民税から1万円の特別控除を引いた額を11分割し、11分の1ずつを2024年7月から2025年5月まで支払います。
仮定では住民税が毎月1万5000円、年額が18万円です。夫の場合3人分の減税が適用されるので、減税額は3万円です。2024年6月の徴収額は0円、年額から3万円引いた額を11分割し、2024年7月から2025年5月までの11ヶ月間 (18万円-3万円)÷11ヶ月≒1万4000円という計算です。
妻の所得税減税は扶養親族なし、本人のみなので3万円なります。7000円×4=2万8000円で6~9月まで4ヶ月間の所得税は0となり、10月の2000円減税で完了します。
妻の住民税額は、6月は0円で、7月~2025年5月まで(18万円-1万円)÷11ヶ月≒1万5000円となります。
毎月の減税額は実感しづらいが、上乗せされた手取りは有効に
このように見てくると、毎月の手取りが「増えた」と実感することは難しいかもしれませんが、確実に上乗せされています。このような施策を機会に給与明細を確認する習慣を付けて、「今、どういった項目でいくら控除されているのか」を把握するようにしてはいかがでしょうか。
給与明細のチェックは、日々の生活に忙殺されて、どうしても後回しになりがちです。また、毎日の収支をその都度チェックするのは、煩雑で長続きしないものです。
変わりに、節目で家計がどうなっているのかを把握しておくと、減税施策などで上乗せになった金額を有効に活用しようという動機付けにもなって、お金との付き合い方が変わるのではないでしょうか。
出典
国税庁 給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者