母が遺した「タンス預金」は税務署に申告すべき?生活費として少しずつ使えば問題ない?
配信日: 2024.07.12
もしあとから無申告が発覚すると追加で課税される可能性もあるため、相続時点での申告が大切です。今回は、タンス預金は相続財産に含めるのか、また隠すとどうなるのかなどについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
タンス預金も相続財産として扱われる
基本的に亡くなった本人の財産はすべて相続財産として扱われます。タンス預金も例外ではないため、見つけた時点で忘れずに相続財産に含めて計算しましょう。国税庁によると、相続税の基礎控除額は「3000万円+法定相続人の数×600万円」で求められます。
例えば、母親の残したタンス預金が2000万円、タンス預金以外の相続財産が3000万円で、法定相続人の人数は子どもと父親の2人だとしましょう。
法定相続人数が2人の基礎控除額は「3000万円+2人×600万円」なため、4200万円です。相続財産の総額は5000万円のため、基礎控除額を引いた800万円に相続税がかかります。
この場合、納付する税額は80万円です。ただし、実際の金額は配偶者の税額軽減などが適用されるため、変動する可能性があります。
タンス預金の相続は隠しても税務署にバレる可能性が高い
少しずつ使っていたとしても、亡くなった方の出金記録などから、税務署は不審なお金の動きを把握しています。例えば、亡くなった母親が亡くなる前に合計2000万円を出金しているにもかかわらずどこにも使用した記録がなければ、タンス預金の存在を疑われる可能性があるでしょう。
また、入金記録も調査できるため、相続したお金を口座に入れると税務調査によりバレるケースもあります。税金の無申告が後日バレると、本来の納税額だけでなく追加の税金も納付が必要です。相続した時点で、タンス預金も隠さずにほかの相続財産と合計して申告しましょう。
申告をしないと加算税や延滞税の課税対象になる
申告が必要な税金を期限までに申告しないと、加算税や延滞税が課されます。申告しなかった期間や金額などに応じて計算方法が異なるため、間違えないようにしましょう。
加算税とは
財務省によると、加算税は「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の4種類です。加算税の種類や金額によって、税率は10~40%の間で変動します。
もし申告期限後に納付申告をして無申告加算税が適用されると、納付金額の50万円までの部分は15%、50万円超~300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%が追加の税金として納付が必要です。
例えば、500万円の税額を申告していないと、「(50万円×15%)+(250万円×20%)+(200万円×30%)」で合計117万5000円の無申告加算税が課される可能性があります。なお、どの加算税が適用されるかは状況により異なるため、気になる場合は税務署へ問い合わせましょう。
延滞税とは
延滞税とは、加算税とは別に追加で納付する税金の利息に相当する税金です。税金の納付期限から過ぎた日数に応じて税率が決められています。国税庁によると、令和4年1月1日から令和6年12月31日までにおける経過日数別の税率は以下の通りです。
・納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:年2.4%
・納付期限の翌日から2ヶ月を経過したあと:年8.7%
日数が経過するほどに納付税額も高くなっていく仕組みなので、申告忘れに気付いたらなるべく早く追加の税金も含めて納付しましょう。
タンス預金を相続したらほかの財産とまとめて申告する
タンス預金であっても相続財産のひとつです。ほかに相続した財産と合計して相続税の申告をする必要があります。タンス預金の相続は、申告をしなくてもいずれバレる可能性が高いでしょう。
もし隠して申告しなかった場合、過少申告加算税や無申告加算税の対象になるケースがあります。また、税金の申告期限から遅れると、加算税に加えて延滞税の納付も必要です。
隠したことが発覚すると、本来の納税額よりも実際に納付する税額が高くなるだけなので、最初に相続財産を申告する時点で隠さずにすべて申告しましょう。
出典
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版)財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.9205 延滞税について
財務省 納税環境整備に関する基本的な資料 加算税の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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