更新日: 2024.07.11 その他税金

日本の車の税金は欧米諸国とくらべて31倍も高い?いったい何に使われているの?

日本の車の税金は欧米諸国とくらべて31倍も高い?いったい何に使われているの?
日本は、車にかかる税金が世界一高い国です。欧米諸国に比べると、約2.3〜31倍と非常に過重なものとなっています。日本の車にかかる税金が高い理由は、高度経済成長期に道路整備のために作られた税金が現在も残っているためです。
 
そこで今回は、日本の車の税金はなぜ高いのかをテーマに、車の税金の種類や使い道について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

日本の車の税金は世界一高い

日本の車の税金は「世界一高い」といわれています。日本と欧米諸国の車にかかる税金を表1で比較しました。
 
表1

日本 自動車税(種別割り):46.8万円
自動車重量税:16.0万円
自動車税(環境性能割り):2.2万円
消費税:24.0万円
89.0万円
イギリス 自動車税:28.0万円
付加価値税:48.0万円
76.0万円
ドイツ 自動車税:13.0万円
付加価値税:45.6万円
58.6万円
フランス 登録税:4.5万円
付加価値税:48.0万円
52.5万円
アメリカ 自動車税:2.1万円
小売り売上税:21.3万円
23.4万円

前提条件:排気量2000cc・車両重量1.5トン以下・車体価格240万円・13年間使用・為替レートは調査時のもの
※日本自動車連盟(JAF) 2020「自動車税制に関するアンケート調査」結果を基に筆者が作成
 
表1のように欧米諸国に比べると、日本は税金の金額が高いだけではなく、種類が多いです。そのため、世界一車の税金が高い国となっています。
 
また、度重なる税制改正により減税された部分はあるものの、消費税が導入されてからガソリン税に消費税がかかる二重課税が発生し、現在もそのまま運用されています。このように日本の車の税金はさまざまな問題を抱えており、今後の税制改革に期待するしかありません。
 

日本の車の税金が高い理由

日本の車の税金が高い理由は、道路整備です。日本は、1960〜1970年代にかけての高度経済成長期に車が一般家庭に普及しました。しかし、当時の日本は道路が整っておらず、全国の道路を整備することなり、財源確保のため税金が作られました。
 
作られた税金は「自動車取得税」「自動車重量税」「ガソリン税」です。道路特定財源と呼ばれ、当時は大急ぎで道路を作る必要があったため、自動車重量税とガソリン税は最初に決められた税額の2倍ほどに増額されました。
 
道路整備完了後も度重なる税制改革は行われているものの、一度増えた税金が戻ることはなく、現在の税額となっています。
 

車の税金の種類と使い道

日本の車に関する税金は、表2の8つが挙げられます。
 
表2

段階 税目 国/地方 使い道
取得
(購入)
自動車税(環境性能割り) 地方税 一般財源
消費税(車購入時) 国税・地方税 一般財源
保有 自動車重量税 国税 道路整備の特定財源
→現在は一般財源
自動車税(種別割り) 地方税 一般財源
使用
(走行)
ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税) 国税 道路整備の特定財源
→現在は一般財源
軽油引取税 地方税 道路整備の特定財源
→現在は一般財源
石油ガス税 国税 道路整備の特定財源
→現在は一般財源
消費税(燃料購入時) 国税・地方税 一般財源

※JAF 2020「自動車税制に関するアンケート調査」結果を基に筆者が作成
 
まずは車を購入する際に、自動車税(環境性能割り)と消費税がかかります。環境性能割りは自動車取得税の代わりに導入され、特殊自動車を除いた普通車を取得する際に納める税金です。消費税は商品やサービスの提供に対してかかる税金で、1989年に導入されており、車の購入時にもかかります。
 
自動車重量税は車を保有する際にかかる税金で、道路整備の特定財源として導入されました。自動車税(種別割り)も同様に、車の所有者に課税される税金です。また、車の燃料にも税金が発生し、表2の通り燃料に合わせて3つの税金があります。燃料の購入時には、消費税も課税されます。
 
表2を見て分かるように、道路整備の特定財源として作られた税金は、一般財源化されました。これにより、車に関する税金はすべて一般財源です。一般財源とは、道路整備や車に関係するものだけではなく、教育・医療・警察・消防・公共サービス・福祉・公務員や議員の給料など、さまざまなことに使われています。
 

日本の車の税金は一般財源化され欧米諸国よりも2.3〜31倍高い

日本の車に関する税金は、欧米諸国と比べて約2.3〜31倍高いといわれています。元々、特定道路財源としてさまざまな税金が作られ、道路整備が進められました。道路が整った現在でも、税金がなくなることなく、現在は一般財源として課税されています。
 
日本で車を購入・保有・使用する際は、それぞれで税金が課税されるため、車にかかる税金を把握したうえで購入を検討しましょう。
 

出典

JAF 2020『自動車税制に関するアンケート調査』結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集