更新日: 2019.01.10 年末調整
「年末調整の書類なので記入をお願いします」 年末調整とはなにか?
なんとなく渡された書類を記入して提出したら、知らないうちに年末調整が終わっていた。そうなってはいませんか?
この機会に、「年末調整とはなにか」知っておきましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
そもそも年末調整とは?
会社などの給与の支払い者は、その雇用する社員などに対し、給与を支払う前に所得税と復興特別所得税(以下「所得税等」とします)をあらかじめ給与から差し引いておき、それを社員などに代わり納税しています。
本来この所得税等は、毎年1月から12月の給与をもとにして計算されることとなっています。しかし、それでは毎年12月になるまで、納めるべき所得税等の金額が確定しません。
12月に確定した所得税等を一括して1年分収めるとなると、金額が大きくなってしまい、社員など納税者の負担が大きくなってしまいます。場合によっては金額が予想以上に大きく、払うことができない。といったことも起こりえます。
そのような事態を防ぐため、毎月の給与からだいたいの金額を算出し、その金額を仮の所得税等として収めるという方式が採用されています。
ところが、この金額はあくまで仮の金額であり、基本的に少し高めの税率で計算されています。おまけに、生命保険などの保険料控除といった事項について、考慮されていません。当然、支払う所得税等の金額は、本来支払うべき金額よりも高くなることが多く、払いすぎた税金を返してもらう必要があります。
また、ときには支払った金額が本来支払うべき金額よりも少なく、追加で支払うということもありえます。
そこで、正しい所得税等の金額を確定させ、払いすぎた税金を取り戻したり、逆に不足分があれば支払うという作業を行うための手続きが年末調整なのです。
年末調整は絶対に受けなきゃいけないの?
年末調整は会社が行うものであり、基本的に会社に雇用されている社員などは、その対象となります。
では、年末調整の対象とされる社員は、必ず会社の行う年末調整を受けなければならないのでしょうか。
答えは「基本的に受けなければならない」となります。
なぜなら、所得税法190条およびに同法194条により、一定の例外事由に該当しない限り、対象となる人に対し年末調整を行うことが、事実上会社の義務となっているからです。
年末調整を受けられない場合は?
もし、年末調整を受けられないとなると、所得税等の正確な金額を把握することができません。
そうなってしまうと、本来であれば戻ってくるはずのお金が、戻ってきません。また、仮に納めていた所得税等の金額が不足していた場合、その不足分について正しく納税することができていないことになります。
そうなってしまわないように、年末調整を受けることができなかったときは、確定申告を行うようにしてください。
収めるべき所得税等の額が不足しているのにもかかわらず、年末調整も確定申告も行わないまま長期間放置すると、延滞税などが加算され、本来よりも多くの税金を収めなければならない可能性もあります。
確定申告は例年2月中旬から3月中旬に行えます。申告方法など詳細については、住所地を管轄する税務署へ問い合わせることで説明を受けることができます。
何らかの理由により、年末調整を受けることができなかった場合は、必ず確定申告をして、税金の納めすぎや延滞税加算などのリスクを回避しましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士