海外旅行中に医療機関で治療を受けました。支払った医療費は「医療費控除」の対象になりますか?
配信日: 2024.09.08 更新日: 2024.09.09
海外旅行中に病気やけがで医療機関を受診した場合にかかった費用についても、控除の対象になるのか不安に感じている人もいるでしょう。
本記事では、海外旅行中にかかった医療費の控除について、支払った医療費に対する控除額の計算方法とともにご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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医療費控除とは?
1年間に支払った医療費の合計が一定額を超えたときは、所得控除を受けることが可能です。控除の対象となる医療費には、以下のようなものがあります。
●診療や治療にかかった費用
●治療や療養に必要な医薬品の購入費用
●病院や施設などへの収容に必要な人件費
●あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費用(治療に関係のあるもの)など
ただし、納税者が自分自身、または同一生計の配偶者や親族にかかった医療費であることが条件となります。
医療費控除を受けるためには、必要事項を記載した確定申告書を税務署に提出しなければなりません。
海外旅行中にかかった医療費は控除の対象になるのか?
医療費控除については所得税法第七十三条に定められていますが、控除の対象となる医療費を「国内でかかったもの」とする旨の記載はありません。そのため、海外旅行中にかかった医療費も控除の対象となると考えられます。また、国税庁のホームページにも「海外旅行先で支払った医療費は控除の対象となる」という記載があるため、問題ないと考えていいでしょう。
ただし、医療費控除を受けるためには「居住者」であることを証明できなければなりません。所得税法第二条三項によると、居住者とは「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう」とされています。
通常の海外旅行であれば問題ありませんが、海外赴任などで国内に住所がない場合や、1年以上日本に住んでいない場合などは医療費控除の対象にならない可能性があるので注意が必要です。
海外旅行中に支払った医療費の計算方法
以下では、国税庁「医療費を支払ったとき」を基に、医療費控除額の計算方法をご紹介します。
・その年中に支払った医療費-保険金などで補てんされる金額-10万円又は所得金額の5%(どちらか少ない額)
なお、控除額は最高で200万円です。
海外で医療機関にかかった際、治療費を外国通貨で支払った場合は、円換算して計算する必要があります。支払った日の外国為替の電信売相場と電信買相場の仲値(TTM)で換算してください。申告の際に領収書が必要になるので、大切に保管しておきましょう。
また、過去に海外で支払った医療費についても、支払いをした翌年の1月1日から5年以内であれば控除の対象になるため、確定申告を行うことをおすすめします。
海外旅行中に支払った医療費も医療費控除の対象になる可能性がある
1年間に支払った医療費が決められた金額より多くなった場合は医療費控除の対象となり、還付される可能性があります。控除の対象となるのは治療費や薬代などですが「国内でかかった医療費であること」という定めはないため、海外旅行中にかかった医療費についても対象になると考えられます。
ただし、医療費控除を受ける人は国内に住所があり、実際に住んでいる「居住者」である必要があるので、海外赴任などで1年以上日本に住んでいない人などは受けられない可能性があります。
また、控除される医療費の金額については海外で支払った金額を円換算して計算する必要があるため、詳しく確認しておくといいでしょう。過去の支払い分も5年以内であれば控除の対象になるため、確定申告を行うことでお金が戻ってくる可能性があります。
出典
デジタル庁e-GOV法令検索 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条三項、第七十三条
国税庁
医療費を支払ったとき
タックスアンサー(よくある税の質問)No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー