更新日: 2024.09.22 その他税金

もうすぐ「離婚」します。財産分与で夫名義の「不動産」を受けることになりましたが、税金を払う必要があるのでしょうか?

もうすぐ「離婚」します。財産分与で夫名義の「不動産」を受けることになりましたが、税金を払う必要があるのでしょうか?
財産分与に伴い、課税がなされる可能性があります。特に、不動産の財産分与は高額の譲渡所得税が課税される場合があります。財産分与と税金の関係について確認しておきましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

財産分与とは

民法では、夫婦の一方が婚姻前から有する財産および婚姻中自己の名で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)とされています(民762条1項)。
 
しかし、婚姻中、夫名義で財産形成がなされても、妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、財産形成においても実質的には夫婦共同で築き上げたといえます。
 
夫婦が離婚するにあたり、婚姻中夫婦共同で築き上げた財産は、一方配偶者の名義になっていたとしても財産を精算するために分与を認めています(民768条1項、771条)。
 
財産分与は、このように公平な分配が基本ですが、離婚後の生活保障や離婚の原因を作ったことへの損害賠償(慰謝料)の性質も含むとされています。
 
財産分与の額は、当事者間の協議によって金額を決めますが、当事者間で協議が調わないときは,家庭裁判所に調停または審判を申し立てることができます(民768条2項、771条)。
 
家庭裁判所の審判では、夫婦が働きをしているケースと、夫婦の一方が専業主婦(主夫)であるケースのいずれでも,夫婦の財産を2分の1ずつに分けるように命じられることが多いようです。
 
財産分与は、離婚時に分与してもよいですし、離婚後に分与を請求できます。ただし、離婚から2年(除斥期間)が経過すると、家庭裁判所に申立てをすることができなくなりますのでご注意ください(民768条2項但し書き)。
 

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財産分与と贈与税

離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税は課税されません。なぜなら、財産分与は、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
 
しかし、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や、その他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合の多すぎる分、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、贈与税が課税されますのでご留意ください。
 

財産分与と譲渡所得税

財産分与が土地や建物、株式などで行われたときは、財産を分与した人に譲渡所得の課税が行われる場合があります。たとえば、不動産を財産分与した場合、譲渡時の時価が取得価額より高かった場合、譲渡者に譲渡所得税が課税されます。
 
次に、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売ったときには、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定します。
 
ところで、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3000万円まで控除ができる特例があります。さらに、所有期間が10年を超える場合は、通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例の適用を受けることができます。
 
特例の適用を受けるための要件のひとつに、「売り手と買い手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと」があります。この特例の特例を受けるには、分与は離婚後に行います。
 

財産分与と不動産取得税

不動産取得税は、土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得した際に(相続などの場合は除く)、取得した方に対して課される地方税です。不動産の取得について、有償・無償の別、登記の有無、取得原因は問いません。
 
不動産取得税は、不動産の価格(固定資産評価額)に対して、原則4%の税率になります。ただし、土地および住宅用家屋については、現在、税率が3%に軽減される特例措置が設けられています。
 
財産分与は、婚姻中、夫名義で財産形成がなされても、妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、財産形成においても実質的には夫婦共同で築き上げたといえます。このように、財産分与が清算的な意味合いを持つ場合、不動産取得税はかからないとされています。
 
したがって、実際に夫婦の共有名義となっていた不動産の相手方持分を取得した場合や財産分与が扶養的、慰謝料的意味合いを含む場合には不動産取得税は課税されます。
 

まとめ

財産分与を受けても原則、贈与税は課税されません。不動産や株式などを譲渡した場合には、譲渡者に譲渡所得税がかかる場合があります。不動産を取得した場合には原則、不動産取得税がかかりませんが、一定の場合には課税されます。
 
財産分与の課税関係は複雑ですので、必ず、税理士や税務署に確認してください。
 

出典

法務省 離婚を考えている方へ~離婚をするときに考えておくべきこと~
国税庁 No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき
国税庁 No.4414 離婚して財産をもらったとき
国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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