更新日: 2024.10.28 控除
月収12万円のパート勤務です。今月から社会保険が適用になると聞きましたが、手取りは減りますよね…何かメリットはあるのでしょうか?
社会保険が適用されると手取り額が減少するのは避けられませんが、社会保険加入にはデメリットだけではなく、さまざまなメリットもあります。
本記事では、社会保険の適用範囲拡大について、長期的な視点から見た影響を考察します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大
2024年10月から、社会保険の適用範囲が拡大されました。パートやアルバイトなど短時間労働者の従業員に対して社会保険の適用を広げるもので、2016年から段階的に適用範囲が広がっています。
今回は、従業員数が51人以上の企業に影響を与えるものです。厚生労働省によると、対象となる従業員の条件は以下の通りです。
・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満(フルタイムで働く従業員の週の所定労働時間が40時間の企業の場合)
・所定内賃金が月額8万8000円以上である
・2ヶ月を超える雇用が見込まれる
・学生ではない
これらの条件を全て満たす場合に、社会保険の加入が義務付けられました。拡大の目的は、短時間労働者の社会保障を強化し、将来受け取れる年金額が増えることで老後資金の確保や、病気・けがなどのリスクに備えることが挙げられます。
社会保険適用によるメリット
メリットのひとつは厚生年金保険への加入により、将来の年金受給額が増加することです。国民年金のみの場合と比べて、老後の生活資金の面でプラスになるといえるでしょう。
また、病気やけがで働けなくなった場合、一定期間給与の3分の2相当が支給される傷病手当金なども受け取りの対象です。
さらに、国民年金と国民健康保険においては被保険者本人が保険料を全額負担しますが、厚生年金保険と健康保険の保険料については、企業と個人が半分ずつ負担します。
社会保険適用によるデメリット
社会保険の適用により、雇用される側は社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)を負担する必要があるため、手取り額は減少します。雇用する側である企業側にとっても、経済的な負担・事務負担が大きくなるといえます。
「年収の壁」対策とは
「年収の壁」とは、パートやアルバイトで働く人々が直面する、年収と税金に関する制約のことです。社会保険に関わるものとしては、106万円と130万円の2つの壁があり、超えると社会保険料の負担が発生したり、配偶者の扶養から外れたりします。
年収が106万円を超えると社会保険への加入が義務付けられ、手取り収入が減少する可能性があります。また、年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、国民年金や国民健康保険の保険料の支払いが発生します。
そこで、2023年10月より収入が「年収の壁」を超えても、手取りが減らないよう支援する「年収の壁・支援強化パッケージ」が導入され、さまざまな対策がとられています。
ひとつは「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」で、社会保険加入となった労働者の手取り収入を減らさない取り組みを支援するために、条件に該当する企業に対して助成金が支給される制度です。
そのほか、繁忙期などの理由で年収が130万円を超えた場合に、一時的な増加であることを企業が証明することにより、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みづくりが行われています。
社会保険の適用範囲拡大により、手取り収入が減る可能性はあるが、長期的にはメリットが大きい
パート勤務でこれまで社会保険に加入していなかった場合、適用範囲の拡大により保険料が給与から引かれることになるため、手取り額は減少するでしょう。しかし、医療保険の充実、将来の年金受給額の増加、雇用保険の恩恵など、多くのメリットがあることも事実です。
短期的には負担増となりますが、長期的な視点で見ると、社会保険への加入は将来の経済的安定や予期せぬ事態への備えとして大きな意味を持ちます。社会保険加入をより安定した将来を築くための一歩としてとらえ、前向きに取り組んでいくことが大切です。
出典
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について 対象となる従業員の要件
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー